目次 1-4


1−4 法人税法における利益積立金額の概要

Question  法人税法における利益積立金額の内容を教えてください。


Point
 利益積立金額は、法人の所得で留保している金額です(法2丸数字1十八)。


Answer


 法人税法上、利益積立金額とは、法人の当該事業年度前の各事業年度(以下、「過去事業年度」といいます。)の(1)から(7)までに記載された合計金額から法人の過去事業年度の(8)から(12)までに記載された合計金額を減算した金額に、当該事業年度開始の日以後の(1)から(7)までに掲げる金額を加算し、これから法人の同日以後の(8)から(12)までに掲げる金額を減算した金額とします(法政令9)。

(1)  [1]から[8]までに掲げる金額の合計額から[9]及び[11]に掲げる金額の合計額を減算した金額となります。なお、当該金額のうちに法人が留保していない金額がある場合には、当該留保していない金額を減算します。

  [1]  所得の金額。

  [2]  法人税法第23条(受取配当等の益金不算入)の規定により所得の金額の計算上、益金の額に算入されない金額。

  [3]   法人税法第23条の2(外国子会社から受ける配当等の益金不算入)の規定により所得の金額の計算上益金の額に算入されない金額。

  [4]  法人税法第25の条の2第1項(受贈益の益金不算入)の規定により所得の金額の計算上益金の額に算入されない金額。

  [5]  法人税法第26条第1項(還付金等の益金不算入)に規定する還付を受け又は充当される金額、法人税法第26条第2項に規定する減額された金額、法人税第26条第3項に規定する減額された部分として政令で定める金額、法人税第26条第4項に規定する附帯税の負担額又は法人税第26条第5項に規定する附帯税の負担額の減少額を受け取る場合のその受け取る金額及び法人税第26条第6項に規定する還付を受ける金額。

  [6]  青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越し又は会社更生等により債務免除等があった場合、欠損金の損金算入の規定により所得金額の計算上損金の額に算入された金額。

  [7]  法人税法第64条の3第3項(法人課税信託に係る所得の金額の計算)に規定する資産の同項に規定する帳簿価額から同項に規定する負債の同項に規定する帳簿価額を減算した金額。

  [8]  法人税法第136条の4第1項(医療法人の設立に係る資産の受贈益等)に規定する金銭の額又は金銭以外の資産の価額及び同条第2項に規定する利益の額。

  [9]  欠損金額。

  [10]  法人税として納付することとなる金額並びに地方税法の規定により当該法人税に係る都道府県民税及び市町村民税として納付することとなる金額。

  [11]  法人税法第61条の13第7項(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)の規定により譲渡損益調整資産(法人税法第61条の13第1項に規定する譲渡損益調整資産をいう。)の取得価額に算入しない金額から法人税法第61条の13第7項の規定により譲渡損益調整資産の取得価額に算入する金額を減算した金額。

(2)  当該法人を合併法人とする適格合併に係る被合併法人の適格合併の日の前日の属する事業年度終了時の利益積立金額。

(3)  当該法人を分割承継法人とする適格分割型分割に係る分割法人の利益積立金額。

(4)  当該法人を被現物分配法人とする適格現物分配により当該適格現物分配に係る現物分配法人から交付を受けた資産の当該適格現物分配の直前の帳簿価額に相当する金額。

(5)  資本又は出資を有する法人が資本又は出資を有しないこととなった場合のその有しないこととなった時の直前における資本金等の額に相当する金額。

(6)  連結法人が有する他の連結法人の株式又は出資について譲渡等修正事由が生ずる場合、帳簿価額修正額に相当する金額。

(7)  当該法人との間に完全支配関係があり、かつ、連結完全支配関係にない法人の株式又は出資について寄附修正事由が生じる場合、受贈益の額に寄附修正事由に係る持分割合を乗じて計算した金額から寄附金の額に当該寄附修正事由に係る持分割合を乗じて計算した金額を減算した金額。

(8)  株式又は出資に係るもので、資本剰余金の額の減少に伴うもの及び分割型分割によるものを除く剰余金の配当。若しくは分割型分割以外の利益の配当若しくは出資に係る剰余金の分配又は資産の流動化に関する法律に規定する金銭の分配の額として株主等に交付する金銭及び金銭以外の資産の価額の合計額。

(9)  適格分割型分割以外の分割型分割に係る分割法人が当該分割型分割により分割法人の株主等に交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額から資本金等の額(Q1−3(15))に掲げる金額を減算した金額。

(10)  当該法人を分割法人とする適格分割型分割に係る当該法人の適格分割型分割の直前における利益積立金額。

(11)  法人税法施行令第8条第1項第16号(Q1−3(16))に規定する減資資本金額を超える場合におけるその超える部分の金額。

(12)  法人税法施行令第8条第1項第17号に規定する合計額(Q1−3(17))が同号に規定する取得資本金額を超える場合におけるその超える部分の金額。

 

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