目次 Q2-1


2 所得控除の人的控除と生計一に関するQ&A

Q2−1  海外留学中の長男への仕送り

 私は海外に留学している長男に毎月仕送りを行っています。長男は現地で4年間大学に通う予定ですが、本年より語学の勉強もかねてアルバイトをするようです。

 この場合、本年の私の所得税の申告上、長男を扶養親族とすることはできるのでしょうか。




 現地でのアルバイト収入が多額でない限り、扶養親族とすることができます。

 ある人が扶養親族となるためには

 (1)所得者の配偶者又は親族であり
 (2)所得者と生計を一にし
 (3)その人のその年中の合計所得金額が38万円以下であること

が条件となります(所法2丸数字1三十三・三十四)。

 「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではなく、勤務、修学、療養等の都合上、他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合に、これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われているときには、これらの親族は生計を一にするものとされています。

 ご質問の場合、あなたはご長男に対して常に生活費を仕送りしているのですから、ここにいう「生計を一にする」に該当することになります。

 次に、ご長男の合計所得金額ですが、1年以上海外に留学しているため、あなたのご長男は「非居住者」に該当します。この非居住者については、国内源泉所得がいくらであるのかによって上記の所得要件を満たすかどうかを判定することになります。

 つまり、ご長男の国内源泉所得がゼロであるならば、海外における収入がいくらであったとしても上記(3)の所得要件はクリアすることになります。

 ただし、海外におけるアルバイト収入が多額である場合には、あなたが仕送りしていたとしても、その仕送りした金銭が生活費そのものとはいえないため、「生計を一にする」ことにあたらない可能性があります。

 この金額の基準は明確に規定されていませんが、一般的には扶養親族となるための所得要件である所得金額38万円(給与であれば年収103万円)を1つの基準とすることが妥当であると考えられます。

【参考】 扶養控除額(所得税)一覧
区  分 控除額
一般の「控除対象扶養親族(扶養親族のうち年齢16歳以上の人)」 38万円
特定扶養親族(控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人) 63万円
老人扶養親族(控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の人) 同居老親等以外の人 48万円
同居老親等 58万円

 

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