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動産売買先取特権は売掛債権の最後のよりどころですが、なにぶんにもその実行に手間がかかります。この点、相殺は、もっとも簡便な決済手段であり、債権を回収したのと同じ結果をもたらしてくれます。
【1】 相殺とは?
例えば、A社がB社に、100万円の売掛債権をもっているだけでなく、120万円の借入債務を負っているとします。B社は、売掛債権の支払期日が来ているのに、支払の猶予を申し入れてきました。この場合、A社は、この売掛債権と借入債務とを相殺するという意思表示をするだけで、100万円の売掛債権を決済でき、後は、20万円の借入債務が残るだけとなります。
このように、2人の者が互いに相手に対し同種の債権(例えば、金銭債権同士)をもっている場合に、一方から相手方に対する意思表示によって双方の債権を同額で消滅させることを、相殺といいます(民法505条1項)。
【2】 相殺の行使方法
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自分のもっている債権(法律用語で「自働債権」といいます。)の期限が到来していれば、相手のもっている債権(つまり自分の債務です。「受動債権」といいます。)の期限が到来していなくても、相殺できます。自働債権は、相手の期限の利益を保護しなければならないのに対し、受動債権は、自分が期限の利益を放棄すればよいからです。 |
| (2) |
自働債権と受動債権を具体的に示して、相殺の対象を明確にします。 |
| (3) |
相殺は、相手方が同意しなくても、一方的な通知(=意思表示)のみでできます。 |
| (4) |
この通知は本来口頭でも書面でもよいのですが、後日の争いを避けるため、内容証明郵便で通知するのがよいでしょう。 |
【3】 相殺の担保的機能とは?
相手方が債権の支払をしない場合、相殺ができれば、債権を回収したのと同じ結果をもたらします。
もっとも、この担保的機能を働かせるには、相手方に債権を有するだけでなく債務も負担する取引関係をつくっておく必要があります。
【4】 相殺が禁止される場合がある
自己の債務が不法行為に基づく損害賠償債務であるなど、法により相殺に用いることが禁止される場合があります。
また、例えば、債務者が手形の不渡りを出したことを知って、債務者から商品を購入し買掛金債務を負担し、債務者に対する売掛金債権と自己の買掛金債務とを相殺しようとしても、このような相殺は禁止されています。これは、破産という局面では、担保権のない債権者は皆平等に按分弁済を受けられるに過ぎず、抜け駆け的に完全な弁済を受けたのと同じ結果となる行為を許すことはできないという考えに基づいています。
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