| 2 自分の債権の弱点を知ろう! | II-1-2 |
| 【1】 まずは自分の債権の分析から まずは交渉をもってみるといっても、債務者の支払意思を引き出すには、「あなたがその気なら、出るところに出ます。」という姿勢も必要です。また、交渉が決裂し、いざ訴訟を提起しようとしたときには、債権者と債務者との間に感情的な対立が生じている場合も少なくないため、債務者がこちらの債権を否定してくるかもしれません。そこで、交渉に入る前に、あらかじめ、自分の債権はどの程度強力か、どのような弱点があるかを把握するとともに、交渉過程でこの弱点を埋めるチャンスがあればそれを利用することが、その後の債権回収の実効性に大きく関わってきます。 【2】 既に、即財産を押さえる手段を有しているか?(債権の強力さ) 前項で説明したように、債権者であっても、担保権に基づく競売手続、強制執行手続などの司法の手を借りなくては、債務者の財産から債権回収を図ることはできません。 既に、債権者が、支払が滞ったときのためにあらかじめ抵当権や質権を備えていれば、裁判所への担保権に基づく競売の申立などができます。また、債務者に支払等を命じる判決や支払督促、支払が滞ったときは強制執行をする旨定めた公正証書、支払を約束する即決和解調書、調停調書をもっていれば、これらの書類を基に裁判所に強制執行の申立ができます。 このようなものがない場合には、今からでも、債務者と支払について交渉する過程で、例えば、支払条件を緩和する代わりに担保権や公正証書などを備えることができるかを考えます。しかし、これは、債権者と債務者との間で信頼関係が残っており、また、債務者に未だ信用があって、債権者としても一定の猶予を与えてみようと思える場合の話です。このような場合でなければ、支払督促の申立や訴訟提起を念頭に置くこととなります。 【3】 債務者は争うか?証拠はあるか? 支払督促の申立や訴訟提起を念頭に置く場合、債務者が債権者の債権の発生自体や発生した額を争ってくるかどうかが重要です。なぜならば、訴訟では「立証責任」という基本原理がとられており、争いのある事実について、立証責任を負う側がこれを合理的な疑いを越える程度に証明する必要があり、その証明ができず真偽が不明の場合には、立証責任のある側に不利益な事実を認定することになります。そして、債権者は、「債権の発生」について立証責任を負担しているからです。 そのため、債務者との交渉過程で、既に債務者が債権の発生自体や発生した額を否定しているような場合には、債権者としては、これらの事実を証明するための証拠を揃えておく必要があります(なお、債務者が、債権が発生したことは認めながら、「弁済した」とか「免除してもらった」として債権の消滅を言ってくる場合には、債務者が消滅理由である弁済や免除の事実を立証する必要があり、債権者は「弁済がないこと」や「免除していないこと」の立証責任まで負いません。)。 また、現時点では認めてくれている債務者でも、将来争ってくるということはよくあることです。そこで、債務者が支払を滞らせた原因や債務者の性格などに照らし、将来争われることが少しでも予想される場合にも、証拠の有無を確認しておく必要があります。証拠が不十分である場合には、交渉の中で、債務者から、「債務確認書」をもらっておくべきでしょう。 *債務確認書の例
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