2 うまく回収するためには? I-5-2

 
【1】 回収遅延の理由をまず把握!
 
 債権の回収が滞った場合には、まず、回収遅延の理由を探ります。当方の販売した商品や提供した役務に問題があって支払を止めている場合には、値引きや返品等のしかるべき措置をとります。
 当方に落ち度がなく、単に先方の資金繰り難による遅延の場合は、早め早めの対応が肝心です。日々のちょっとした基本的な行動が、大きな貸倒れを生まない秘訣となります。

不良債権を生まないためには?
(1) 請求書で相手の言いがかりをつけさせない
 請求のタイミングが遅かったり、請求書の内容に不備があったりして支払を遅らせる隙を与えないことが重要です。当然のことながら、得意先の名前などは絶対間違えてはいけません。
(2) 請求書確認の電話
 入金が遅れがちな得意先については請求書が到着するころを見計らって請求書が到着したかどうかの確認の電話を入れます。資金繰りに困った取引先の中には請求書が到着していない旨の嘘をついて翌月支払にすることがありますので、その口実を与えないためです。
(3) 回収が遅延したらすぐに行動
 入金が遅れたら直ぐに相手に連絡します。入金遅延の理由を尋ね、入金の手続をとるようお願いします。その上で、先方に領収書持参で集金に出向く旨、申し出ます。
 これらについては、ムダだと思われても必ず実行するようにしてください。債権回収にうるさい会社だと思わせておくと、取引先はその会社から先に支払うようになります。また、請求金額より少ない金額しか支払っていないのに何のアクションもとらないようだと取引先から舐められてしまい、支払を後回しにされがちです。
 回収の遅延は初期のうちに対処しないと雪ダルマ式に増えていきます。繰り返すようですが、初期における適切な行動が不良債権の発生・増加を防ぐのです。

 
【2】 取引先の支払能力や支払意思を確認!
 
 取引先に確かに支払うという意思があって支払能力がなければスムーズな回収はできません。両方がない場合には、多額の費用をかけて訴訟を起こしても費用倒れになるのがオチだからあきらめるよりほかありません。それでは、片方がない場合はどうでしょうか?
 まず、支払意思があっても支払能力がない場合には、先方の支払能力に応じて適切な回収計画を立て、着実に回収していきます。この場合に大切なのは、取引先の心情に訴えた交渉です。例えば、債権の回収のためにはねばり強く取引先に日参します。取引先の担当者や社長は居留守を使うこともありますが、このときには「タダでは帰らない」という気持ちで臨みましょう。営業時間中応接室でずっと待って、よい回答を得られるまで居座るのも一つの手です。間違っても、当初は社長の自宅に押しかけてはなりません。社長の自宅にいきなり押しかけると、最後に居直られてしまい、比較的容易に回収できるはずのものが回収できなくなってしまうケースが多いようです。
 次に、支払能力があるのに支払う気が全然ないケースでは、法的手続を取ることを検討します。取引先の資産・負債を丹念に調べ、競合するであろう債権者の動向もよく察知しておく必要があります。


【3】 交渉の過程では証拠固めを!

 債権回収の交渉の過程では、後日、言った、言わぬの水掛論になることがよくあります。後日の法的手続において有力な証拠となるよう、交渉過程について録音するなど証拠固めに努めるとよいでしょう。例えば、交渉の当初の段階では取引先もまだ支払う意思がある場合が多いのですから、「後で支払う」とか「支払は来月まで待ってくれ」とかいう取引先による言質をとれば、後日の法律上の手続において債権そのものが存在するのかどうかにまで争点になったとき有力証拠となり得ます。この場合の「後で支払う」とか「支払は来月まで待ってくれ」とかいう言質は、債務承認にあたりますので、これを何らかの形で証拠化しましょう。

 

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