3 包括根保証は怖い! I-3-3

 
【1】 包括根保証はいざというとき、役に立たない!
 
 包括根保証は、根保証の期限や極度額を定めていません。そのため、取引開始の際にこの保証契約書をとっておけば、その後取引量が増えても無限に債権を担保でき、改めて保証契約を何度も結びなおす必要がないということで、一見、大変有利なように思われます。
 実は、包括根保証には債権保全に際して致命的な問題があります。すなわち、第三者からとった包括根保証は保証人の責任が過重であるので、判例において次のような場合には保証人側からの解約権を認め、保証人の責任を限定しているのです。

包括根保証における解約権
(1)
任意解約権
・・・保証契約を締結して相当の期間が経過したとき
→要するに、契約後時間が経てば解約できるわけ!
(2)
特別解約権
・・・債務者の資産状況が急激に悪化したとき
→要するに、保証が必要な状況になったら解約できるわけ!

 (1)(2)の意味しているところは、保証契約を締結してしばらくするか、債務者の資産状況が急激に悪化したときには、債権者の承諾なしに、保証人の側から一方的に解約できるということです。これでは、せっかく取引先の債権保全として別途、保証人を立てさせた意味が減殺されてしまいます。
 このようなことから、債権回収の実務においては「包括根保証」ではなく、保証金額に限度のある「限定根保証」をとるのが常識となっています。
 しかし、このような法律知識を持たない税理士などが、お客さんから債権保全手段の相談を受けて包括根保証を薦めるケースが大変多いように思いますので注意が必要です。
 なお、債務者である会社の社長や専務などは、自社と債権者との間の取引の状況を知りうる立場にあるので、任意解約権も特別解約権もないものとされています。
 
 
【2】 限定根保証でも包括根保証扱いとされるケース
 
 限定根保証契約を結ぶ場合において、極度額をブランクにすれば将来の取引増加に備えた対策になるという趣旨で、極度額を空欄にしたままの保証契約書をとる営業マンがいます。この場合、形式的には限定根保証契約を結んでいますが、実質は包括根保証契約を結んだことと認定されます。また、極度額について保証人が記入せずに債権者が勝手に記入した場合には、後日、裁判で保証書の信憑性が問題となるケースも出てきます。
 したがって、このような不注意により不測の損害を被らないよう、極度額は保証人自らがサインするのを直接自分の目で見て確認しましょう。
 
 
【3】 極度金額は妥当な額で!
 
 極度金額を定めない根保証契約や包括根保証契約の恐ろしさは上で説明しましたが、極度金額を大きく定めておけばどうでしょうか?
 この場合には、判例でいう保証人側からの一方的な解約権は発生しません。
 しかし、極度額が取引額等に比して不相応に多額である場合には、保証人の責任が過重になるので、保証人の責任が相当な額に限定されることがあります。
 そうならなくても、取引先との取引状況及びその予想などからみて過大な極度額を定めた場合には、取引先から取引増加の口実を与える元となります。保証人からの弁済があるから大丈夫と高をくくっていると大やけどしますので、ほどほどの金額で極度金額を定める方が得策です。

((参考))
 新聞報道によれば2005年に施行される予定の改正民法(あるいは特別法)では、銀行からの借入れ時に代表者が包括根保証を結ぶのを制限する予定です。
 

 

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