| 2 担保・保証のとり方のポイント | I-2-2 |
| 【1】 担保・保証はスタート時点でとるべき! 担保や保証は取引の安全の担保のためとるものですから、取引開始時点でとるべきです。後で説明する取引を開始してからの担保・保証の要求は困難なことが多いので、スタートの時には担保・保証をとるよう努めましょう。 特に、先方からの申入れにより取引を開始した場合には、取引に応じる交換条件として担保・保証をとるのはさほど困難ではないと思われます。このようなケースでは、担保・保証をとることを怠ってはいけません。 担保・保証を取引開始時にスムーズにとれるようにするためには、取引基本契約書のフォームにあらかじめ担保・保証条項をいれておくと、交渉には何かと役に立ちます。 逆に、当方が積極的に取り組もうとしていたり、当方の立場が比較的弱い場合には、このような申入れを行いますと、先方を怒らせかねませんので注意が必要です。 【2】 取引が開始してからではむずかしい! いったん取引が開始してからの段階で担保・保証をとるのはむずかしいといえます。それでは、どのようなタイミングで、担保・保証をとることができるでしょうか。 まず、得意先との取引が急増して、それに伴い売掛金が急増したときが、グッドタイミングです。このときに単に業績が向上したと手放しに喜ぶのではなく、売掛金増加の原因を調査します。正当な理由もないのに取引高が急増して売掛金残高が急増しているのであれば、与信枠を厳格に適用するか、与信枠自体の見直しを行って売掛金残高を増加させないよう対策を立てる必要があります。その上で、先方に担保・保証の設定を要求することが必要です。このような対応をするためには普段から与信管理を徹底し、取引先の信用状況を的確につかむことが重要です。 次に、得意先に危険兆候が出た場合です。例えば、得意先について、法令違反で問題になっているだとか、売上の急減・返品多発といった危険兆候が出た場合には、直ちに担保差入れ若しくは保証差入れを要求すべきです。この場合も、普段からの与信管理を徹底させる必要があります。取引開始段階での担保差入れ若しくは保証差入れの要求漏れは、会社に損害を及ぼす可能性が高いことに留意すべきでしょう。 危険兆候のうち、とりわけ当方の協力が必要な行為、例えば手形のジャンプ要請や代金支払いの延期要請があった場合には、要請に応じる交換条件として担保差入れ若しくは保証差入れ要求をするべきです。 【3】 意味のある担保・保証をとろう! 物的担保、つまり不動産への抵当権や質権設定などの場合には、登記やモノの占有によって担保権の対象物が明確になりますから大きな問題はありません。 ところが、人的担保の場合は「保証人の保証意思」の有無の真否が、いざというときに裁判上の問題となるということがあるのです。すなわち、実印と印鑑証明がある保証書をとったとしても安心できるわけではないわけです。 裁判で効力を否定された担保・保証などというものは「空手形」です。こんなものをとっても気休めにしかなりません。せっかくとった担保・保証が後日の裁判で効力を否定されることのないよう、注意が必要です。 |