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【1】 信用取引には資金回収リスクがある!
商取引にあたって商品と代金とを同時にやり取りする現金商売においては、資金回収リスクはありません。
しかし、商品の売買代金を後日に決済するのが常態化した今日の経済にあっては、資金回収リスクについて考慮する必要があります。
商品を掛けで売買する場合を考えてみましょう。この取引が成立したときにおいて、売買の当事者はどのような法律関係に立つのでしょうか。
まず、商品の売主は売買契約の目的物である商品を買主に引き渡すべき「商品引渡義務」という債務を負う反面、売買契約による売買代金を請求できる「売買代金債権」を有します。
逆に、商品の買主はこの反射的な権利義務である「商品引渡請求権」という債権を持つ反面、「売買代金債務」を負担します。

信用取引となると商品の引渡しは先に済まされてしまうので、売買代金債権債務が残ることになるのです。このときに商品の売主が有する売買代金債権が貸し倒れてしまうかもしれないリスクが「資金回収リスク」なのです。
【2】 資金回収リスクとはどんな内容か?
売買代金債権とはどのような性格を持つものでしょうか。
売買代金債権は、約束した一定の期日に返済を求めるべき金銭債権です。この約束した一定の期日におカネが回収できなかった場合には、債務不履行として買主に代金の回収を請求することができます。
ここで重要なのは、金銭債権を有する債権者には、資金を回収する強制力がないということです。つまり、裁判や強制執行といった法的手段に訴えるよりほかはありません。
担保・保証のない状態で債務者が倒産してしまった場合、債権者には次のような大変つらい結果が待ち受けています。
| (1) |
裁判や強制執行には時間と費用がかかります。 |
| (2) |
倒産手続において債務者の財産を処分して得た資金は、すべての債権者に平等に分配されます(債権者平等の原則といいます)。 |
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(1)(2)がどういうことを言っているのか、例をあげて説明してみましょう。
甲社はA社に対し、1億円の金銭債権を有しています。このA社が、この分も含めて10億円の負債を抱えて倒産したとしましょう。倒産手続においてA社の財産が換価処分され、総額9,000万円の配当原資ができました。この場合、甲社が何の担保も持っていなければ、甲社はその他の債権者と平等に配当原資からの按分弁済を受けることしかできません。つまり、甲社に配当されるのは900万円に過ぎません(9,000万円×1億円/10億円=900万円)。
したがって、この場合に甲社が回収できなかった9,100万円については、他に弁済財源がない限り貸倒れになってしまうわけです。
【3】 担保は優先弁済を受ける制度
ところが、債権者が担保をとっていれば、債権者平等の原則の例外として、強制競売手続により債務者の財産を処分して得た資金の優先弁済を受けることができます。上記の設例でいえば、強制競売手続の対象となった財産について甲社が第一順位の抵当権を付けていれば、9,000万円の売却代金はすべて甲社が回収することができるのです。
つまり、債権者が事前に担保を債務者からとっていると、他の債権者に優先して確実に支払を受けることができ、たとえ信用取引であっても安心して取引をすることができるのです。
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