目次 II-4(9)


(9) 無道路地
 

 無道路地とは、一般には道路に直接接していない土地をいいますが、財産評価に当っては、私道により公道に通ずることのできるものを間口が狭小な宅地(袋地)、そうでないものを無道路地と区別します。
 また道路に接していても接道義務を満たしていない宅地も無道路地と同様の評価を行います。
 この接道義務とは、建築基準法その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件をいいます。

 無道路地(上の図のB)の価額は、不整形地としての補正を行った後の価額から、無道路地としての斟酌額(不整形地の補正を行った後の価額の100分の40の範囲内において相当と認める金額)を控除して評価します。
 具体的には、まず、B地と、B地と道路の間にある宅地(A地)によって作られる想定整形地(A+B)に基づいて不整形地としての評価を行います。この際の間口距離は、接道義務に基づく通路幅(図のa)とします。
 つぎに、この価額から、「100分の40の範囲内において相当と認める金額」を控除することになりますが、この金額は接道義務に基づき最小限度の通路を設けるとした場合の、その通路に相当する面積の評価額(路線価に面積を乗じた価額とし、画地調整はしません)とします。また不整形地補正を行う際は、不整形地補正率表の補正率に間口狭小補正率を乗じて不整形地補正率を求める計算に当っては、無道路地が接道義務に基づく最小限度の間口距離を有するものとして間口狭小補正率を適用します。

〔参考〕 接道義務(大阪府建築基準法施行条例の場合)
   ●一般住宅の場合の通路幅  2m
 ● 学校、病院、映画館、ホテル等(大阪府建築基準法施行条例第7条にいう特殊建築物)の場合の通路幅  4m
接道義務(東京都建築安全条例の場合)
 ●住宅、長屋、事務所、小規模の飲食店等
  ・総床面積が200平方メートル以下で、 道路までの距離が20m以下  2m
道路までの距離が20m超   3m
  ・耐火建築物及び準耐火建築物以外の建物で、総床面積が200平方メートル超の場合で、
  道路までの距離が20m以下  3m
道路までの距離が20m超   4m
 ●大規模建築物
  ・総床面積1,000平方メートル超 2,000平方メートル以下  6m
  ・総床面積2,000平方メートル超 3,000平方メートル以下  8m
  ・総床面積3,000平方メートル超               10m



 また、乙がA地を通行する権利(地役権)をもっている場合には、B地は間口が狭小な宅地(袋地)として評価します。

 

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