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10 退職給付債務の大幅な減額の取扱い |
(1) 退職給付債務の大幅減額の一時損益処理 退職給与規程の改訂による退職給付債務の減少があった場合は、過去勤務債務を認識します。通常は、たとえ大幅な減額であっても過去勤務債務を認識するのですが、稀なケースとして、大規模な経営改善計画の一環として行われる退職給付の大幅な減額改訂により退職給付債務の大幅な減額が生じるケースがあります。このケースについても、本来ならば過去勤務債務を認識すべきですが、経営改善計画の実施により他の特別損失が多額に発生する場合は、過去勤務債務の費用処理額の全額をその時点で損益計上した方が、経営改善計画の実施による特別損益の全体が明らかになり、より実態を反映すると考えられます。 (2) 遅延処理項目の処理 (1)に記載したケースのような場合には、過去勤務債務の一時処理と同様に、大幅な退職給付債務の減額に対応する未認識過去勤務債務、未認識数理差異計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額(以下、これらを「遅延処理項目」といいます。)を、発生時点における退職給付債務の比率その他合理的な方法により算定し、同時に一時的な損益として認識した方が実態を反映します。 (3) 財務諸表への注記 退職給付債務の大幅な減額があった場合に、減額により認識した過去勤務債務及び遅延処理項目を一時損益処理したときは、その旨及び損益計算書に与える影響額を注記する必要があります。 (4) 退職給付債務の増額又は減額の測定時点 退職給付債務の大幅な減額により認識した過去勤務債務も通常の過去勤務債務に該当するため、一時に損益に計上する場合でも、通常の過去勤務債務と同様に、規程等の改訂日現在で測定します。
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