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4 厚生年金の年金額


Question
 厚生年金の年金額の計算にも、改正があったようですが。



Answer

 平均標準報酬額の計算に用いる再評価率は、今までは5年に1度改定されていましたが、平成17年度以降は毎年改定されます。

 また、加給年金額も改定されました。

 1 標準報酬の再評価

 老齢厚生年金等の額の算定のもとになる平均標準報酬額の計算は、標準報酬月額および標準賞与額に再評価率を乗じて計算されています。改正前の再評価率は5年に1度改定されていましたが、平成17年度以降は原則として、毎年度、名目手取り賃金変動率を基準として改定されることになります。


 2 加給年金額等

 厚生年金保険の被保険者期間が、原則として20年以上ある老齢厚生年金受給権者に生計を維持されている配偶者や子がいれば加給年金が支給されますが、その額が次のとおり改定されました(前問に同じく物価スライド特例措置の考え方によっています。以下の改正は平成16年4月から適用)。

年金の種類 年金額(改正前) 年金額(改正後)
配偶者加給年金 229,300円 228,600円
子の加給年金(第2子まで) 229,300円 228,600円
子の加給年金(第3子以降)  76,400円  76,200円
配偶者は、65歳未満の配偶者に限られます。
子は、18歳到達年度の末日までの子または20歳未満で1級・2級の障害の子に限られます。


【配偶者特別加算額】
 また、昭和9年4月2日以後に生まれた受給権者には、受給権者の生年月日に応じて配偶者の加給年金額に特別加算が行われますが、その額が次のとおり改定されました。

生年月日 特別加算額(改正前) 特別加算額(改正後)
昭和 9年4月2日〜昭和15年4月1日

昭和15年4月2日〜昭和16年4月1日

昭和16年4月2日〜昭和17年4月1日

昭和17年4月2日〜昭和18年4月1日

昭和18年4月2日〜
  33,800円

67,700円

101,600円

135,400円

169,200円
 33,700円

67,500円

101,300円

135,000円

168,700円


【障害厚生年金等】
 障害厚生年金、遺族厚生年金の年金額についても、次のとおり改定されました。

種  類 年金額(改正前) 年金額(改正後)
障害厚生年金3級の
最低保障額
597,800円 596,000円
(基礎年金の満額の4分の3に相当する額)
遺族厚生年金中高齢
寡婦加算の額
597,800円 596,000円
(基礎年金の満額の4分の3に相当する額)


 3 その他の改正

(1)  特別支給の老齢厚生年金(60歳代前半の老齢厚生年金)の額は


で求めますが、このうちの定額部分については、次のように改正されました(平成16年10月1日から適用)。


 ただし、これも国民年金と同様に、(1)改正後の規定により計算した金額が、(2)平成12年改正後の額に0.988を乗じた額に満たないときは、(2)の金額となる「物価スライド特例措置」が適用されます。

(2)  また、改正前は上記の「被保険者期間の月数」には、生年月日に応じて次のような上限が設けられていました。
 ・昭和4年4月1日以前生まれ…………………………………420月
 ・昭和4年4月2日〜昭和9年4月1日生まれ…………………432月
 ・昭和9年4月2日以後生まれ…………………………………444月

 この上限についても改正が行われ、昭和19年4月2日以後に生まれた人については、さらに段階的に480月に引き上げられます(平成17年4月から適用)。
 ・昭和19年4月2日〜昭和20年4月1日生まれ………………456月
 ・昭和20年4月2日〜昭和21年4月1日生まれ………………468月
 ・昭和21年4月2日以後生まれ…………………………………480月

 

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