年末調整は、本年最後の給与を支払う時において、「扶養控除等申告書」を提出している人に対し、 本年中に支払うべきことが確定した給与について行います。ここでいう「本年中に支払うべきことが確定した給与」とは、本年1月1日から12月31日までの間に支払が確定した給与で、これを給与所得者の側からいえば、「本年中に収入すべきことが確定した給与」ということになります。
したがって、前年の未払給与で本年中に支払われたものは既に前年の年末調整の対象とされていますから含まれませんが、本年の未払給与で来年に繰り越して支払われるものは「本年中に支払うべきことが確定した給与」に含まれます。
また、本年の中途で就職した人については、その人が就職前に他の給与の支払者に「扶養控除等申告書」を提出して給与の支払を受けていた場合には、その給与の額を他の給与の支払者から交付された「給与所得の源泉徴収票」によって確認し、それを含めたところで年末調整を行います。この場合、給与所得の源泉徴収票の提出がないため、他の給与の支払者が支払った給与が分からないときは、その人の年末調整は、その提出があるまで見合わせることになります。
給与所得の収入金額の収入すべき時期 |
(1) |
雇用契約とか慣習その他株主総会の決議等により支給日の定められているもの(3)に掲げるものを除く。)……その支給日 |
(2) |
雇用契約等により支給日の定められていないもの……その支給を受けた日 |
(3) |
役員に対する賞与のうち、株主総会の決議等によりその算定の基礎となる利益に関する指標の数値が確定し支給金額が定められるものその他利益を基礎として支給金額が定められるもの ……その決議等があった日 |
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(注) |
株主総会の決議等が、役員に対して支払う賞与の金額の総額を定めただけで、各役員に支給する具体的な金額は、後日、取締役会等で定めることにしているような場合には、その取締役会等において各役員に支給する賞与の金額が具体的に定められた日が、収入金額の収入すべき時期となります。 |
(4) |
給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため追加支給する新旧給与の差額 |
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イ |
その支給日が定められているもの……その支給日 |
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ロ |
その支給日が定められていないもの……その改訂の効力が生じた日 |
(5) |
いわゆる認定賞与とされる給与等 |
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イ |
その支給日があらかじめ定められているもの……その支給日 |
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ロ |
その支給日が定められていないもの……現実にその支給を受けた日(その日が明らかでない場合には、その支給が行われたと認められる事業年度の終了の日) |
給与所得者の区分 |
年末調整の対象となる給与 |
(1) |
年初から「扶養控除等申告書」の提出があった人の場合 |
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(2) |
本年の中途で「扶養控除等申告書」の提出があった人の場合 |
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イ |
乙欄給与の支払を受けていた人が、本年の中途で「扶養控除等申告書」を提出した場合 |
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ロ |
丙欄給与の支払を受けていた人が、雇用期間の延長により本年の中途で丙欄給与の受給者でなくなり「扶養控除等申告書」を提出した場合 |
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ハ |
学校卒業直後に就職した人で、「扶養控除等申告書」を提出している人の場合 |
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(注) |
在学中においてアルバイト等による収入がない人に限ります。 |
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(3) |
本年の中途で「扶養控除等申告書」の提出先(主たる給与の支払者)が入れ替わった人の場合 |
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(4) |
本年の中途で就職した人で、就職前に他の給与の支払者に「扶養控除等申告書」を提出して給与の支払を受けていた人の場合 |
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(注) |
本年中途で就職した人が、就職前に他の給与の支払者に「扶養控除等申告書」を提出して給与の支払を受けていた場合にはその給与も年末調整の対象に含めます。 |
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(5) |
本年の中途で入(帰)国し「扶養控除等申告書」を提出した人の場合 |
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(6) |
本年の中途で出国した人又は死亡等により退職した人の場合 |
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イ |
「扶養控除等申告書」を提出していた人が、12月に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した場合 |
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(注) |
上図の場合には、その退職の時(13日)に年末調整を行い、後日(20日)賞与が支払われた際に年末調整の再調整を行うことになります。 |
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ロ |
「扶養控除等申告書」を提出していた人が、本年の中途で海外支店等への転勤により出国し非居住者となった場合 |
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(注) |
出国前の勤務に基づいて支給される給与や賞与で、その人の出国後に支給期の到来するものは、年末調整の対象には含めないで、20.42%の税率により源泉徴収を行います。 |
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ハ |
「扶養控除等申告書」を提出していた人が、本年の中途で死亡により退職した場合 |
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(注) |
在職中に死亡した人の死亡前の勤務に基づいてその人の死亡後に支給期の到来する給与や賞与については、相続税の課税価格に算入され、所得税及び復興特別所得税は課税されません。 |
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ニ |
「扶養控除等申告書」を提出していた人が、本年の中途で著しい心身の障害のため退職した場合 |
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(注) |
本年中途で著しい心身の障害のため退職した人について年末調整を行うのは、その退職の時からみて本年中に再就職することができないと見込まれる場合に限られます。 |
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(7) |
11月以前にその年最後の給与の支払を受ける人の場合(給与の支給を年2回と定めている場合など) |
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(注) |
本年中に支給期の到来する①と②の甲欄給与の総額について年末調整を行います。 |
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