目次 VI-Q11


Q11 交際費等の限度額計算における資本金

Question
 寄附金、交際費等は、法人の資本金によって、損金算入限度額が異なりますが、次の場合では、それぞれ資本金の判断はどのようになりますか?
  (A) 「払込期日が期末」の増資をした場合
  (B) 利益または準備金の資本組入れをした場合
  (C) 「受け入れた資産の評価額が過大」な現物出資をした場合


Answer


 交際費等は、税務上、損金に算入される金額に限度があります。この損金算入限度額は、法人の期末資本金の金額によって異なっており、その判定が重要になります。

 まず、(A)の期末に増資した場合ですが、株式会社にあっては、現行商法上、払込または現物出資の給付をした新株の引受人は払込期日の翌日より株主になることになっています。そこで、法人税法上も、株式会社における資本増加の日は、払込期日の翌日となっています。

 したがって、払込期日までに増資金額の全額が払い込まれ、法人においてその金額を資本金に振り替えていたとしても、増資の効果は払込期日の翌日に生じることになります。「払込期日が期末」の増資をした場合には、払込期日の翌日、つまり、翌事業年度開始日において、増資の効果が生じることになりますので、期末においては、増資前の資本金で判定することになります。

 なお、株式会社以外の会社では、払込期日に増資があったものとされますので注意が必要です。

 次に、利益または準備金の資本組入れを行った場合ですが、現行商法上、会社は利益処分に関する株主総会の決議をもって配当可能利益の資本組入れができ、また、取締役会の決議により準備金の資本組入れが可能となっています。この場合、新株の発行は義務づけられてはいませんが、資本組入れにより資本金が増加しますので、資本金額の登記が必要になります。

 資本組入れが行われた場合の、「資本の増加した日」は、配当可能利益の資本組入れについては、決議の行われた株主総会の終了の日、準備金の資本組入れについては、取締役会の決議の日となります。

 したがって、寄附金や交際費等の損金算入限度額計算における資本金額は、これらの資本組入れ後の資本金額をもとに判断することになります。

 最後に、(C)の現物出資をした場合ですが、前記の通り、払込期日の翌日に株主になりますので、株式会社における資本増加の日は、払込期日の翌日となり、これに基づいて判定することになります。ご質問の場合には、現物出資の際に受け入れた資産の評価額が過大とのことですが、税務上、払込否認の金額がある場合には、その否認金額を控除した後の金額をもって判定することになります。


 注:  なお、平成17年6月に会社法が成立しましたが、平成18年以降会社法が施行されますと、上記内容に変更が加えられと思われます。
 まず、会社法上、払込または現物出資の給付をした新株の引受人は払込期日(または出資の履行日)より株主になりますので、法人税法上も、資本増加の日は、払込期日(または出資の履行日)になると思われます。
 次に、利益または準備金の資本組入れは、会社法上、株主総会の普通決議により行うことができます。したがって、資本の増加した日については、いずれも、決議の行われた株主総会の終了の日になると思われます。

 

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