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| 2 受注制作のソフトウェア取引への適用 |
| 1.受注制作ソフトウェア取引と工事契約との関係 受注ソフトウェアの制作業務に係る制作費については、平成10年3月に 企業会計審議会から公表された「研究開発費等に係る会計基準」四1において、このような会計処理は、請負工事の会計処理に準じて処理することとされた。したがって、平成19年に工事契約会計基準が制定される以前は、建設工事等と同様に、企業会計原則の考え方すなわち短期工事には工事完成基準の適用、長期工事には工事完成基準と工事進行基準の選択的適用という会計が一般的であった。しかも、建設工事のような有形の資産を製作する業務と異なって、ソフトウェアの制作業務はいわば無形の資産を作り上げるという異なった性格から、その収益の認識については、特別なケースを除いてほぼ工事完成基準の適用が常識的であったとされている。 しかしながら、平成19年12月27日の「工事契約に関する会計基準及びその適用指針」の制定により、受注ソフトウェアの制作業務も新たな「工事」もしくは「工事契約」の中に含むものとされたから、当該収益の認識に重要な転換が生じたと理解されなければならない。すなわち、工事契約会計基準「範囲」において、次のような規定がなされている。
これによって、受注制作のソフトウェアについては、従来からの請負工事の会計処理に準ずるという基本規定を遵守しながら、具体的な収益認識について、新しい工事契約会計の考え方を適用するという変更がなされたことになる。なお、工事契約会計基準「結論の背景」の「範囲」32では、受注制作のソフトウェアの取引については、それは請負契約の形をとるか準委任契約の形をとるかなどの契約の形態を問わず、工事契約会計基準の適用範囲に含めるものとしている。 また、受注制作のソフトウェアを含むソフトウェアの取引の一般的な体系と個別的な扱いについては、工事契約会計基準に先行して、企業会計基準委員会から平成18年3月30日に実務対応報告第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」(以下、「ソフトウェア収益実務対応報告」ということがある)が公表されている。 したがって、本書の本章で扱う受注ソフトウェアの会計については、基本的に次のような基準等の適用を図ることが適切と考える。 収益認識の基本的な適用原則とその扱いの個別原則について 「工事契約に関する会計基準」及び「工事契約に関する会計基準の適用指針」 ソフトウェア取引の体系・特質とその取引固有の会計処理について 「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」(「ソフトウェア収益実務対応報告」) なお、監査上の留意事項については、日本公認会計士協会が平成14年10月8日に「建設業において工事進行基準を適用している場合の監査上の留意事項」を公表し、これについて、工事契約会計基準の制定後の平成20年9月2日に、その改正版として「建設業における工事進行基準の適用に係る監査上の留意事項」を公表している。これらも受注制作のソフトウェアの会計処理において参照すべきであるが、特別に受注制作のソフトウェア固有の会計処理に言及していることはない。 2 ソフトウェアの意味と区分 受注制作のソフトウェアの範囲については、「研究開発費等に係る会計基準」を踏襲して従来と変わるものはない。その範囲は具体的には、企業会計基準委員会から平成18年3月30日に公表された実務対応報告第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」に示されている。 この実務対応報告においては、まずいわゆるソフトウェアを定義し、次にそのソフトウェア取引の区分を明らかにしている。具体的には、おおむね次のような内容である。
いうまでもなく、上記のソフトウェア取引の区分のうち、(2)の受注制作のソフトウェア取引が、工事契約会計基準を適用すべきソフトウェア取引ということになる。 |