目次 III-1


 III.公益法人の決算手続


1 決算手続の流れ

1 伝統的簿記論による説明

 手書きの帳簿を前提とする伝統的な簿記論の文脈では、決算手続は大きく決算予備手続と決算本手続に分けて次のように説明される。

決算予備手続
(仕訳帳、元帳の仮締め→試算表の作成→棚卸表の作成→決算整理)
決算本手続
(決算仕訳→仕訳帳→元帳の締切り)
財務諸表作成手続


2 実務的な説明

 会計ソフトウェアを前提とする実務では、上記の伝統的な説明のうち、(1)貸借平均の原理による元帳転記の正確性の検証は行われない、(2)決算本手続の決算仕訳は自動的に行われるか省略される、(3)元帳転記や帳簿の締め切りは自動的に行われる、などの相違があるので、伝統的な考え方を踏まえたうえで、次のような枠組みに整理し直し解説を加える。

 なお、試算表の作成は、決算整理前、決算整理後、その他決算の各段階において、経営状況の概要把握や決算手続の進捗確認など必要のつど出力することになる。

決算手続の確認と棚卸等の実施
決算整理前仕訳表の作成
決算整理
(仕訳入力の正確性の検証と実際残高との照合→支部会計の合算
→仮勘定の精算→決算時特有の整理→共通経費の按分)
決算整理後試算表の作成
財務諸表の作成


3 決算スケジュール

 期中取引、決算手続を経て作成される財務諸表などの決算書類は、監事や公認会計士(任意)の監査および社員総会または理事会の承認を得たのち、主務官庁へ提出されるとともに一般の閲覧に供されることになる。

 ただ、特例民法法人の決算スケジュールについては、詳細なルールが民法や指導監督基準になく、法人の自治に委ねられている。(1)定款や寄附行為における社員総会や理事会の開催期限の記載(通常は事業年度終了後2か月または3か月以内)、(2)法人税や法人事業税・住民税の申告期限が事業年度終了後、原則として2か月以内(一定の理由がある場合には、申請により1か月の延長が可能)、(3)消費税の申告期限が事業年度終了後2か月以内(延長の特例なし)、(4)主務官庁への提出期限が事業年度終了後3か月以内、などの時間的制約のなかで決算スケジュールを組むことになる。

 

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