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第6章 流動負債 |
9.未成工事受入金 |
(1)勘定科目の概要 建設業においては、工事期間が長期になり、またその請負金額も多額となる傾向があり、工事期間中の建設業者の資金的な負担が重くなります。そのため、着工時や工事期間中において、前払金や中間払金等の名目で請負代金の一部が支払われる慣行があります。 このように、建設会社が発注者から請け負った請負工事契約につき、工事が完成する前に受け取った工事代金を示すのが未成工事受入金です。未成工事受入金は、一般企業の前受金に相当するものです。 (2)会計処理 発注者より工事の完成引渡し前に請負代金の一部を受領した場合には、未成工事受入金を計上します。 このとき、消費税相当額も含めて受領した場合には、当該金額は仮受消費税等として、工事代金部分とは分けて処理する方法がとられます(未成工事受入金の受領時ではなく、完成工事高の計上時に仮受消費税を計上する方法もあります)。 【事例II−6−13】未成工事受入金の受領
【事例II−6−14】未成工事受入金の受領(工事進行基準適用工事)
(3)税務処理 個別評価金銭債権に対する貸倒引当金の繰入れに関して、同一人に対する完成工事未収入金と未成工事受入金がある場合、その完成工事未収入金の額のうち未成工事受入金の額は、実質的に債権とみられない部分の金額に該当します(法基通11−2−9)。 消費税について、建設工事の課税売上の時期は、原則として完成引渡し時点です。よって、前渡金や中間払金等の入金時に消費税相当額が含まれている場合、仮受消費税等として処理しておき、決算日をまたぐ工事にかかるものについては、預り金等として翌事業年度に繰り越す処理を行います(消基通9−1−1・9−1−5・9−1−6)。 なお、工事進行基準を採用している場合には、完成引渡し前であっても、これらの収入金額が計上されたときに消費税の申告をすることができます(消法17、消基通9−4−1)。 |