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5.未成工事支出金 |
(1)勘定科目の概要 未成工事支出金は、未完成工事に要した工事原価項目を集計し、棚卸資産として計上するものです。 未成工事支出金は、材料費・労務費・外注費・経費に分類して管理する必要があります。 なお、工事進行基準適用工事では、支出した工事原価を期中は未成工事支出金として計上しますが、決算時において完成工事原価に振り替えます。その結果、未成工事支出金の貸借対照表価額は、原則として工事完成基準適用工事の未完成工事における工事原価のみとなります。 (2)会計処理 建設業においては、受注案件ごとに支出額を集計する個別原価計算が一般的であり、そのための個別工事原価台帳の整備が必須です。 下記図表II−1−5の工事一覧表のうち、2物件は工事進行基準適用工事(この場合(S)で表記)のため、決算時には完成工事原価に振り替えられ、最下段の工事原価50,000千円のみが未成工事支出金残高として計上されます。 図表II−1−5 個別工事原価台帳の例
【事例II−1−12】未成工事支出金の計上と原価振替(1)
【事例II−1−13】未成工事支出金の計上と原価振替(2)
(3)税務処理 未成工事支出金においては、その特性から以下(1)〜(3)のような税務上の論点があげられます。 (1)未成工事支出金から控除する仮設材料の価額(法基通2−2−6) 建設工事用の足場、型枠、シート等のような仮設材料の取得価額を未成工事支出金に含めて経理処理している場合、建設工事等の完了または他の建設工事等の用に供するためこれらの資材を転送した場合に、当該未成工事支出金の金額から控除すべき仮設材料の価額については、以下a〜cのいずれかにより処理します。
建設業者等が建設工事等の用に供した現場事務所、労務者用宿舎、倉庫等の仮設建物で木造のものの取得価額を、その建設工事等にかかる未成工事支出金の金額に含めている場合には、以下aとbに掲げる場合に応じ、それぞれ次の金額を当該未成工事支出金から控除します。この場合、その控除すべき金額を未成工事支出金から控除することに代えて、雑収入等として処理することも認められます。
当該仮設建物が取り壊されるものである場合には、その取壊しによる発生資材の価額として見積もられる金額 (3)金属造りの移動性仮設建物の取得価額の特例(法基通2−2−8) 建設業者等が建設工事等の用に供する金属造りの移動性仮設建物については、その償却費を工事原価に算入します。ただし、この場合における当該建物の償却計算の基礎となる取得価額は、当該建物のうちその移動に際して継続して使用される部分の取得に要した額によることができます。 |