目次 I-3


3 利息

 既述のとおり、民法上の原則は無利息ですが、当事者の合意により利息をつけるとする場合がほとんどです。当事者が単に利息をつけることだけを合意した場合、法定利息年5分となります(商人間の場合は年6分)。

 当事者が利率まで合意する場合には、利息制限法の規制に注意する必要があります。

 利息制限法1条は、金銭を目的とする消費貸借における利息の契約に関して、制限利率を超える部分を無効としています。

 (1)元本の額が10万円未満の場合:年2割
 (2)元本の額が10万円以上100万円未満の場合:年1割8分
 (3)元本の額が100万円以上の場合:年1割5分

 そして、債権者が受領する元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず利息とみなすものとされています(利息制限法3条)。

 また、利息を天引きした場合は、天引額が、借主の受領額を元本として上記利率で計算した金額を超えているときは、その超過部分は元本の支払いに充てたものとみなすこととされています(利息制限法2条)。

 かつては、借主が利息制限法1条に規定する制限利息を超過する部分を任意に支払ったときに、借主はその超過部分の返還を請求することができないとされていました(改正前利息制限法1条2項)。

 しかし、判例は、「債務者が任意に支払った利息制限法の制限超過の利息・損害金は、当然に残存元本に充当される」(最大判昭和39年11月18日民集18・9・1868)とし、次いで、「利息制限法所定の制限を超える利息・損害金を任意に支払った場合において、制限超過部分の元本充当により計算上元本が完済となったときは、債務者はその後に債務の不存在を知らないで支払った金額につき返還を請求することができる」(最大判昭和43年11月13日民集22・12・2526)と判示し、改正前利息制限法1条2項は空文化していました。そこで、平成18年の改正によって削除されました。

 

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