目次 I-1〜4


I.確定申告をしなければならない人


1 事業所得や不動産所得などがある人の場合

 その年分の各種所得金額の合計額から配偶者控除、扶養控除、基礎控除その他の所得控除額を差し引き、その金額を基として算出した税額が配当控除額よりも多い人は、その年の翌年2月16日から3月15日までの期間に、確定申告をしなければなりません(所法120丸数字1)。


2 給与所得がある人の場合

 給与所得者は、一般には、年末調整によって所得税及び復興特別所得税が精算されますので、改めて確定申告をする必要はありませんが、その年分の各種の所得金額の合計額から基礎控除その他の所得控除を差し引き、その金額に基づいて計算した税額から配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額を差し引いてもなお残額のある方で、次のいずれかに該当する場合には、確定申告をしなければなりません。

(1) その年分の給与等の収入金額が2,000万円を超える人(所法121丸数字1)。

(2)  給与等を1か所から受けている人で、給与所得及び退職所得以外の各種所得(例えば、地代、家賃、原稿料など)の金額の合計額が20万円を超える人(所法121丸数字1一)。

(3)  給与等を2か所以上から受けている人で従たる給与等の収入金額と、給与所得及び退職所得以外の所得(例えば、地代、家賃、原稿料など)との合計額が20万円を超える人。

 しかし、給与の全部について源泉徴収又は年末調整を受けている場合に、すべての給与の収入金額が、150万円と雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除以外の所得控除額との合計額以下で、かつ、給与所得及び退職所得以外の各種の所得金額の合計額が20万円以下である人は、確定申告をする必要はありません(所法121丸数字1二)。

  (注) 上記の(2)、(3)の場合は、次のことに注意する必要があります。

    [1]  サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却の適用によって不動産所得が20万円以下となる場合は、確定申告が必要です(措法14丸数字2)。その理由は、確定申告書A及びBの第二表の特例適用条 文等欄に「措法○条○項」と具体的に記載することを要件に、特例が適用されることになっているからです。

  [2]  青色申告特別控除により所得金額が20万円以下となる場合で特別控除額が10万円の場合は、法的には確定申告の必要はありません。青色申告特別控除の適用については、申告書記載が要件にはなっていないためですが、この場合でも、確定申告書を提出される方がよいと思います(措通25の2−3)。

 なお、最高65万円の特別控除を受ける場合は、確定申告書への記載と貸借対照表、損益計算書、その他の所得の金額の計算に関する明細書の添付が要件とされていますので、必ず確定申告書を提出しなければなりません。

  [3]  確定申告をする必要のない人であっても、医療費控除等を受けるために確定申告をする場合には、20万円以下の所得もあわせて申告しなければなりません。その理由は、20万円以下の所得であっても、非課税というわけではなく、単に納税者と国の便宜のためにこのような規定が置かれているのですから、確定申告をする場合まで含めて、この規定を適用する必要はないからです(所法120、121、122)。

  [4]  住宅借入金等特別控除(又は特定増改築等住宅借入金等特別控除)の適用を受けようとする場合は、その初年度については、確定申告によらなければなりません(措法41丸数字17、措法41の3の2丸数字1、措規18の23の2丸数字11)。

(4)  源泉徴収の規定が適用されない給与等(少額老齢年金等、家事使用人給与等、在日外国公館から支払を受ける給与等、国外で支払を受ける給与等)の支払を受けている人で所得税の額が、配当控除の額を超える人(所法120丸数字1、203の6、184、所基通121−5)。

(5)  同族会社の役員やその親族などで、その法人から給与のほかに、貸付金の利子、店舗、工場などの賃貸料、機械・器具の使用料、営業権の使用料などの支払を受けている人(金額の多少を問いません)(所法121丸数字1、所令262の2)。

(6)  災害を受けた人で、その年分の給与について災害減免法により源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人(災免法3丸数字6)。


3 退職所得がある人の場合

 退職所得については、通常申告する必要はありませんが、退職金の支払を受ける際に、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったため、20.42%の税率で所得税及び復興特別所得税を源泉徴収された人でその源泉徴収税額が正規の税額よりも少ない人や外国企業から受け取った退職金など源泉徴収されないものなどは、申告しなければなりません(所法121丸数字2)。

 なお、退職所得の申告をしなくてよい人でも、上記又は下記の確定申告をしなければならない人は、退職所得以外の所得については申告をしなければなりません。


4 公的年金等の雑所得がある人の場合

 その年分について、公的年金等に係る雑所得以外に申告する必要のある所得がない人で、公的年金等に係る雑所得の金額から基礎控除その他の所得控除を差し引いても残額のある人は、申告をしなければなりません。

 なお、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、その年分の所得税及び復興特別所得税について確定申告書を提出しなくてもよいこととされています。(所法121丸数字3

(注)1  平成27年分以後は、外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による社会保険又は共済制度に類するものに該当する公的年金等を受給している方は、公的年金等に係る確定申告不要制度の適用はできません。
 平成27年1月1日以後、その年中の公的年金等の全部について所得税の徴収をされた又はされるべき場合という条件が追加されます。

 この場合であっても、医療費控除などの還付を受けるための申告書を提出することはできます。

 また、公的年金等以外の所得金額が20万円以下で所得税及び復興特別所得税の確定申告書の提出を要しない場合であっても住民税の申告は必要となります。詳しくは、お住まいの市町村にお問い合せください。

 

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