IV-3 |
3 青色申告の特典 |
青色申告で利用できる特典は40種類以上あり、うまく利用すれば、後継者対策や労務対策として活用することができます。 (1) 青色申告と白色申告の違い 青色申告と白色申告の違いをその主なものについて比較しますと、次表のとおりです。 青色申告と白色申告の特典の違い |
特 典 事 項 | 青色申告の場合 | 白色申告の場合 | ||||
不服申立て (通則法75一) |
更正があった場合、異議申立てをするか直接審査請求をするかの選択が可能 | 異議申立てのみ | ||||
専従者給与 (所法57) |
原則として、全額必要経費に算入可 | 配偶者86万円、その他50万円を限度として必要経費に算入できる | ||||
現金主義 (所法67、所令195) |
前々年分の不動産・事業の所得金額の合計が、300万円以下の人については、現金主義による所得計算可 | 適用なし | ||||
純損失の繰越控除 (所法70) |
翌年以降3年間繰越控除可 |
変動所得又は被災事業用資産の損失に限り、繰越控除可 | ||||
純損失の繰戻還付 (所法140、141) |
前年分の所得に係る税金からの還付可 | 適用なし | ||||
推計課税の禁止 (所法155、156) |
帳簿調査に基づかない推計課税による更正を受けることはない | 推計による更正を受けることもある | ||||
更正の理由付記 (所法155) |
更正通知書に、更正の理由が付記される | 更正の理由の付記なし | ||||
引当金 (所法52〜54) |
一括評価による貸倒引当金、退職給与引当金等の引当金の必要経費算入可 | 適用なし | ||||
低価法 (所令99二) |
棚卸資産は低価法による評価可 | 適用なし | ||||
青色申告特別控除 (措法25の2) |
所得を計算する際、最高10万円(事業所得又は不動産所得を生ずべき事業を営む者で正規の簿記の記帳者は最高65万円)の控除可 | 適用なし | ||||
減価償却の特例 (措法11他) |
特定設備等の特別償却、中小企業者が機械等を取得した場合等の特別償却費、中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入可、他 | 適用なし | ||||
その他
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適用あり | 適用なし |
(2) 青色申告の特典一覧表(平成25年11月1日現在) 現在認められている青色申告の特典を列挙すると、次のとおりです。 青色申告の特典一覧表 |
〔棚卸資産の評価関係〕 | |
(1) | 棚卸資産の低価法による評価の選択(所令99) |
〔償却費関係〕 | |
(2) | エネルギー需給構造改革推進設備を取得した場合の特別償却(旧措法10の2の2) |
(3) | エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却(措法10の2の2) |
(4) | 中小企業者が機械等を取得した場合の特別償却(措法10の3) |
(5) | 事業基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却(旧措法10の4) |
(6) | 沖縄の特定中小企業者が経営革新設備等を取得した場合の特別償却(旧措法10の4) |
(7) | 国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却(措法10の5の2) |
(8) | 特定中小企業者が経営改善設備を取得した場合の特別償却(措法10の5の3) |
(9) | 特定設備等の特別償却(措法11) |
(10) | 事業革新設備等の特別償却(措法旧11の2) |
(11) | 集積区域における集積産業用資産の特別償却(措法11の2) |
(12) | 特定農産加工品生産設備等の特別償却(措法11の3) |
(13) | 特定地域における工業用機械等の特別償却(措法12) |
(14) | 医療用機器等の特別償却(措法12の2) |
(15) | 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却(措法13) |
(16) | 支援事業所取引金額が増加した場合の3年以内の取得資産の割増償却(措法13の2) |
(17) | 経営基盤強化計画を実施する指定中小企業者の機械等の割増償却(旧措法13の3) |
(18) | 次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の建物等の割増償却(措法13の3) |
(19) | 特定再開発建築物等の割増償却(措法14の2) |
(20) | 倉庫用建物等の割増償却(措法15) |
(21) | 耐用年数の短縮(所令130) |
(22) | 通常の使用時間を超えて使用される機械及び装置の償却費の特例(増加償却)(所令133) |
〔引当金・準備金関係〕 | |
(23) | 一括評価貸金に係る貸倒引当金の設定(所法52) |
(24) | 返品調整引当金の設定(所法53) |
(25) | 退職給与引当金の設定(所法54) |
(26) | 金属鉱業等鉱害防止準備金の積立て(措法20) |
(27) | 特定災害防止準備金の積立て(措法20の2、20の3) |
(28) | 特定船舶に係る特別修繕準備金(措法20の3) |
(29) | 探鉱準備金の積立て(措法22) |
(30) | 農業経営基盤強化準備金(措法24の2) |
(31) | 農用地等を取得した場合の課税の特例(措法24の3) |
〔所得の特別控除関係〕 | |
(32) | 新鉱床探鉱費の特別控除(措法23) |
(33) | 青色申告特別控除(措法25の2) |
〔その他の所得計算の特例関係〕 | |
(34) | 青色事業専従者給与額の必要経費算入(所法57) |
(35) | 必要経費に算入される家事関連費(所令96二) |
(36) | 小規模事業者の収入及び費用の帰属時期の特例(現金主義による所得計算)(所法67) |
(37) | 中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例(措法28の2) |
〔税額控除関係〕 | |
(38) | 試験研究を行った場合の所得税額の特別控除(措法10) |
(39) | 試験研究を行った場合の所得税額の特別控除の特例(措法10の2) |
(40) | エネルギー需給構造改革推進設備を取得した場合の所得税額の特別控除(旧措法10の2の2) |
(41) | エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の所得税額の特別控除(措法10の2の2) |
(42) | 中小企業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除(措法10の3) |
(43) | 事業基盤強化設備等を取得した場合等の所得税額の特別控除(旧措法10の4) |
(44) | 沖縄の特定中小企業者が経営革新設備等を取得した場合の所得税額の特別控除(旧措法10の4) |
(45) | 雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除(措法10の5) |
(46) | 国内の設備投資額が増加した場合の機械等の税額控除(措法10の5の2) |
(47) | 特定中小企業者が経営改善設備を取得した場合の税額控除(措法10の5の3) |
(48) | 雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除(措法10の5の4) |
〔純損失関係〕 | |
(49) | 純損失の繰越控除(所法70) |
(50) | 純損失の繰戻しによる還付(所法140、141) |
〔更正等の手続関係〕 | |
(51) | 更正の制限(所法155、156) |
(52) | 更正の理由付記(所法155) |
(53) | 更正に対する不服申立ての場合の異議申立てと審査請求の選択(通則法75一) |