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1 計算書類

Question

 会社法における計算書類には、どのようなものがありますか。

Answer

 計算書類として、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表があります。そして、これら計算書類の附属明細書が必要です。
 営業報告書は事業報告に改変され、計算書類から除外されました。



【解 説】


1 計算書類の概要

 会社法では、計算書類として、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表が規定されており、その他の書類として、事業報告と附属明細書が規定されています(会435(2)、会計規91(1))。

 監査との関連では、事業報告が会計監査人の監査対象から外れますが、監査役の監査対象には含まれます。

 株主資本等変動計算書と個別注記表は、会社法で新たに作成されることになった計算書類で、事業報告は営業報告書が名称変更されると同時に、記載事項の変更もされています。


2 計算書類の変更点

(1)利益処分案の廃止と株主資本等変動計算書の新設

 会社法では、剰余金の配当が定時株主総会だけではなくいつでも行うことができるようになり、株主資本の計数の変更がいつでも行えるようになったため、「利益の処分又は損失の処理に関する議案」が廃止されました。それに替わる計算書類として、株主資本等の事業年度初めから終わりまでの変動を記録するための株主資本等変動計算書が新設されました。

(2)営業報告書から事業報告への改変

 営業報告書は事業報告に名称変更され、後発事象などの注記は個別注記表等に移されました。事業報告は会計監査人の監査の対象とはなりません。

(3)個別注記表の新設

 新たに、個別注記表が新設されました。


3 個別注記表の概要

 個別注記表には、(1)継続企業の前提に関する注記、(2)重要な会計方針に係る事項に関する注記、(3)貸借対照表等に関する注記、(4)損益計算書に関する注記、(5)株主資本等変動計算書に関する注記、(6)税効果会計に関する注記、(7)リースにより使用する固定資産に関する注記、(8)関連当事者との取引に関する注記、(9)1株当たり情報に関する注記、(10)重要な後発事象に関する注記、(11)連結配当規制適用会社に関する注記、(12)その他の注記、の記載が必要です。

 ただし、会計監査人設置会社以外の会社かつ公開会社でない株式会社では、これらのうち(2)と(5)だけが必要で、会計監査人設置会社以外の公開会社では(1)だけが不要で、持分会社では(2)だけが必要です。


4 株主資本等変動計算書の注記と税務上の注意点

 会社法では、剰余金の配当がいつでもできるようになり、回数制限が撤廃され、事業年度との対応関係がなくなりました。そのため、法人税法においても剰余金の配当がされた時期を効力発生日とし、利益積立金の減少の時期としました(法令9(1)五)。

 そのため、特定同族会社の留保金額の計算においては基準日(会124)を留保金額の計算をする事業年度末までと定め、事業年度終了の日の翌日から決算の確定の日までの期間内に剰余金の配当をした場合は、基準日の属する事業年度において利益積立金を減額するという旧商法下での取扱いと同様の取扱いが定められています(法法67(4))。この場合には、株主資本等変動計算書に注記が必要です(会計規136四)。

 

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