Q2 社債管理者の責任 IV-Q2
 
Question
 社債管理者の責任については、どのような改正が行われたのか教えて下さい。

 
Answer

 現行法においては、社債管理会社の責任として、社債発行会社の支払いの停止等の前3か月以内の弁済の受領等に基づく責任を規定していますが、なぜか社債発行会社の支払いの停止等の後の弁済の受領等は規制対象とされていません。そこで、会社法においては、まず、(1)発行会社の支払いの停止等の前3か月間における弁済の受領等に加え、支払いの停止等の後の弁済の受領等も社債管理者の特別の損害賠償責任の対象としました(会710(2))。

 次に、現行法においては、社債管理会社自らが有する債権について弁済の受領等を受けた場合に限り社債管理会社の責任対象とされていますが(商311ノ2(2))、社債管理会社の子会社等が社債管理会社から社債発行会社に対する債権を譲り受けて弁済の受領等を受けた場合も、実質的に社債管理会社の利益がはかられ社債権者の利益を害するおそれがある旨指摘がなされていました。そこで、会社法においては、(2)発行会社の支払いの停止等の前3か月以後に、社債管理者と法務省令において定める特別の関係にある者が当該社債管理者の有する債権を当該社債管理者から譲り受け、その債権につき当該発行会社から弁済等を受けた場合も、社債管理者の特別の損害賠償責任の対象としました(会710(2)二)。

 さらに、現行法においては、社債管理会社の行う相殺については社債管理会社の特別の損害賠償責任の対象とはされていませんが、社債の回収に先んじて社債管理会社の債権の満足を得るという点においては、相殺も弁済の受領等と異なるところはないことから、相殺も損害賠償責任の対象とすべきである旨の指摘がされてきました。そこで、会社法においては、(3)社債管理者が社債発行会社の支払いの停止等の前3か月以後に、i)その契約によって負担する債務を専ら相殺の受働債権にする目的で、社債発行会社の財産の処分を内容とする契約を締結した場合、ii)社債発行会社の債務者から債務を引き受ける行為により負担した債務を受働債権として相殺した場合、iii)社債発行会社に対する債権を譲り受けた上で、当該債権を自働債権として相殺した場合、を特別の損害賠償責任の対象としました(会710(2)三・四)。



次ページ