会社法においても、株式会社にとって好ましくない者の経営参画を防止することができるようにするための制度として、株式譲渡に会社の承認を要するとする株式の譲渡制限制度が維持されていますので、定款で株式の譲渡について会社の承認を要する旨の制限を付すことができますが、次のような4つの選択ができるように制限内容の見直しがなされています。
1 対象の選択
現行法においては、すべての発行株式を対象として、定款で株式の譲渡に承認を要することができる旨定められていましたが(商204(1)但書)、会社法においては、すべての発行株式を対象として定款で株式の譲渡に承認を要することができる旨定めることもできることに加え(会107(1)一)、さらに、定款の定めにより、種類株式毎に譲渡制限を付けることができます(会108(1)四)。これにより、会社法下においては、ある特定の種類の株式の譲渡についてのみ、承認を要することを定めることもできるようになりました。
2 承認機関の選択
現行法においては、株式譲渡の承認機関は一律に取締役会とされていましたが(商204(1)但書)、会社法においては、承認機関は、原則として株主総会(取締役会を設置する株式会社にあっては、取締役会)としつつも、定款でそれ以外の機関を承認機関と定めることができるようになりました(会139(1))。これによれば、取締役会を設置する株式会社においても、承認機関を株主総会としたり、代表取締役としたりすることができることとなりますし、上記1で指摘した点を併せれば、株式の種類毎に、異なった承認機関を定めることもできることとなります。
3 例外の選択
現行法においては、株式譲渡制限が付された場合には、株主間の譲渡を含め、例外なく、譲渡承認が必要であると解されていましたが、会社法においては、一定の場合には会社が譲渡承認をしたものとみなし、特段の承認手続を要しないとする例外を定款で設けることができるようになりました(会108(2)四、107(2)一ロ)。これによれば、定款の定めにより、株主間の譲渡については承認を要しないとしたり、特定の属性を有する者に対する譲渡については、承認権限を代表取締役等に委任し、または承認を要しないとすることができることとなります。
4 株式譲受人の選択
現行法においても、会社が株式の譲渡を承認しない場合には、取締役会が譲渡相手を指定することができましたが、その都度選択することが予定されていました。これに対し、会社法においては、株式会社が株式の譲渡を承認しない場合の譲渡相手をあらかじめ定款で指定しておくことができることとなりました(会140(5)但書)。 |