II 株式会社
 
 
Q1 既存の有限会社の扱い II-Q1
 
 有限会社制度がなくなるということですが、既存の有限会社の扱いはどうなってしまうのでしょうか。また、SPCとして有限会社の利用を検討していたのですが、今後はどうしたらよいのでしょうか。



 有限会社制度は廃止されますが、改正法の施行時にすでに設立されている有限会社は、改正法施行後も原則として引き続き従前の規律の下にとどまることができます。

 すなわち、有限会社法の規定による有限会社であって、整備法の施行の際に現に存するものを「特例有限会社」といいますが(整3(2))、特例有限会社は、会社法施行後は株式会社として存続するものとされています(整2(1))。この場合、特例有限会社の出資1口が1株とみされることになります。

 有限会社法と会社法では規律に異なる部分がありますので、有限会社法特有の規律については会社法の特則として整備法に規定が設けられ(整2〜46)、経営者、債権者等に混乱が生じることのないよう各種の経過措置が置かれています。

 特例有限会社は法律的には株式会社ですが、商号中には「有限会社」の文字を用いなければならないこととされています(整3(1))。これは、実質的には従前の有限会社法下とほぼ同様のまま存続することから、取引の相手方や投資家の誤認を防止する必要があることや、従前のまま存続させるという趣旨からは商号も継続使用すべきであるという考え方によるものです。

 改正法の施行時にすでに設立されている有限会社が特例有限会社に移行するにあたっては、定款変更や登記等の手続きは原則として不要です。ただし、定款に別段の定め(有39(1)但書、同44、73)を置いている場合は、改正法施行から6か月以内に所定の事項を登記することが必要です(整10)。

 有限会社は、これまで中小規模の企業が利用するだけでなく、不動産流動化取引における特別目的会社(SPC)やプロジェクト・ファイナンス取引における債務者会社としても利用されていました。これは、資本金額の節約に加え、担保権の実行が制限される会社更生法の適用を回避できる等の理由からです。また、有限会社の組織は簡易である点も利用の目的の一つだといわれています。

 有限会社制度の廃止によって、今後はこれらの目的のために有限会社を設立して利用することはできなくなるので、代替策としては、合同会社ないし組合の利用を検討する必要があるでしょう。

 また、わが国の有限会社は、米国税法上のいわゆるパススルー課税(会社には課税されず、直接その出資者に課税される制度)の取扱いを受けてきましたが、改正法下で設立される日本子会社として、株式会社、合同会社または組合のいずれを用いるべきかは、米国税法上の扱いを踏まえて検討する必要があるでしょう。



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