目次 II-Q11


Q11 交際費課税

Question 税務調査でよく交際費の認定課税が問題になりますが、交際費と類似費用との区分をどう考えたらよいのでしょうか。

Answer
ポイント
(1) 交際費課税の趣旨は、企業の冗費・乱費の抑制にあります。
(2) 契約に基づく対価性のあるものは交際費に該当しません。
(3) 通常のランチ程度で、3,000円相当であれば通常は会議費になります。


 解 説 ▼
【1】なぜ交際費課税が行われるのか

 交際費は企業の事業遂行上、広告宣伝費と並んで不可避の費用です。しかしながら、租税特別措置法によって、交際費の全部あるいは一部が損金に算入されません。その趣旨としては、企業資本充実の一環として冗費・乱費の抑制にあるといわれています。
 
【2】交際費の損金算入限度額

 交際費の損金算入限度額は、次のとおりです。(平成15年4月1日以後開始事業年度からの適用)

期末資本金額 損金算入限度額
1億円以下 交際費の額と400万円定額控除額のいずれか少ない金額の90%相当額
1億円超 ゼロ

【3】契約に基づく対価性のあるものは交際費ではない

 税法では、「交際費等とは、交際費、接待費、機密費、その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」と規定しています。したがって、税法の交際費は経理処理された科目名ではなく実質で判断します。

 交際費を一般的に解釈すれば、人との付き合い費用、客を持てなす費用、人の心を安らかにする費用、さらには、物を贈ったりその返礼のための費用となります。このことから、契約等に基づく義務の履行として支出する対価性の明らかなものは、交際費に該当しないと考えられます。租税特別措置法(法人税関係)通達では、次の事例などが交際費に該当しないものとしています。

 (1)  あらかじめ締結された契約によってその内容、対価の金品が明らかにされている場合の情報提供料(措通61の4(1)−8)
 (2)  一定の商品を購入する一般消費者を旅行・観劇等に招待することをあらかじめ広告宣伝したうえで、招待する費用(措通61の4(1)−9(3))
 (3)  協同組合等が福利厚生の一環として一定の基準に従って組合員等に支出する災害見舞金等(措通61の4(1)−11)
 (4)  特約店等のセールスマンに対し、販売数量または金額に応じてあらかじめ明らかにされているル−ルで交付する金品の費用(措通61の4(1)−13(1))
 (5)  特約店等の従業員に対し、販売数量または金額に応じてあらかじめ明らかにされているル−ルで交付する金品の費用(措通61の4(1)−14)

【4】会議費か交際費か

 実務上よく問題になるのが、会議費と交際費の区分です。会議に関連して、茶菓子、弁当その他これに類する飲食に通常要する費用は、会議費となります。お茶代がわりにビ−ルを1、2杯程度飲んでも交際費には該当しません。租税特別措置法(法人税関係)通達61の4(1)−21では、「会議に関連して通常要する費用」が例示されていますが、「会議に際して社内または通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用」とされています。「通常供与される昼食程度」とは、ランチ程度のもので、金額ではなく実質で判断されます。実質から判断して会議費であれば、夕食あるいは外食であっても問題となりません。ところで、1件当たりの金額基準は、租税特別措置法(法人税関連)通達61の4(1)−4の少額物品についての概ね3,000円以下という規定が目安にはなりますが、これを参考にしながら、あくまでも会議の実質を考慮して、後日の税務調査でトラブルのないように判断してください。

 

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