3 デリバティブ取引の時価評価
 
Question

デリバティブ取引とはどのような取引ですか。また、改訂日本基準ではどのように処理されるのか教えてください。
 

 
Answer

1.デリバティブ取引

 「デリバティブ」は、「金融派生商品」と訳され、株式、金利、為替などの金融商品から派生して生まれたものです。
 株式、金利、為替などの金融商品には、時価変動のリスクがつきものです。そして、この時価変動のリスクをヘッジするために、デリバティブが生まれたといえます。
 例えば、金融商品としてドル建の売掛金を持っている場合は、為替変動リスクにさらされていることになります。つまり、円高によって、円による受取金額が減少するというリスクがありますが、為替予約というデリバティブ取引を行うことで、円による受取金額は確定し、為替変動リスクがなくなる、つまりヘッジすることができます。別の言い方をすれば、為替変動リスクは為替予約契約を締結した相手方に移転されたということです。
 このように、デリバティブ取引を用いたリスクヘッジは、リスクを消滅させるというよりは、リスクを他に移転させる方法といえます。


2.デリバティブ取引の種類

 デリバティブ取引は、大きく次の4つに分類できます。
  (1)先渡取引
  (2)先物取引
  (3)オプション取引
  (4)スワップ取引
 (1) 先渡取引
先渡取引は、将来の特定の日に特定の資産を受渡しする契約であり、契約時点で将来の受渡し価格を決めておくものです。
フォワード(forward)と呼ばれることもあります。
 
 (2) 先物取引
先物取引は、将来の特定の日に特定の資産を受渡しする契約であり、契約時点で将来の受渡し価格を決めておくものです。
フューチャー(futures)と呼ばれることもあります。上述の先渡取引と本質的には同じであり、先渡取引は相対取引であるのに対し、先物取引は取引所取引である点が両者の大きな違いです。したがって、先物取引は定型化、標準化された取引であり、これに対し、先渡取引は個々の企業のニーズに応じた取引を構築できます。ただし、先物取引には、取引の相手方が取引所なので信用リスク、つまり契約の相手が契約を履行しないというリスクがほぼないという利点や、標準物の売買なので反対売買により決済できるという利点があります。
 
 (3) オプション取引
オプション取引とは、取引の当事者が将来の特定の日に特定の商品を特定の価格で売買する権利を売買する取引です。
オプションの買い手は、権利を行使するかどうかは自由であるのに対し、売り手は、買い手から権利行使された場合、必ず履行しなければならないというリスクを負います。したがって、契約時に、オプションの買い手は、売り手にオプション料(オプションプレミアム)を払います。
 
 (4) スワップ取引
スワップ取引とは、取引の当事者間でキャッシュ・フローを交換する契約です。相対取引であり、契約時点でキャッシュ・フローの現在価値が等価であれば、どのようなスキームでも設定可能です。さらにキャッシュ・フローの現在価値が等価でなくても、調整金の受払いによって等価にすることもできます。
代表的なスワップ取引としては通貨スワップ、金利スワップがあります。


3.デリバティブ取引の処理方法

 デリバティブ取引の処理方法は、従来の会計実務では為替予約等の一部の例外を除き、契約段階では処理を行わず、決済時点で損益を認識することが慣行となっていました。改訂日本基準ではデリバティブ取引については次のように処理されることになりました。
 (1) 発生の認識
デリバティブ取引については、契約締結時から時価の変動による価格変動リスクや信用リスクが契約当事者に生じるため、契約締結時より金融資産又は金融負債の発生の認識を行い、貸借対照表に計上することとされました。
なお、デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務を資産又は負債として計上することとされています。
 
 (2) 時価による評価
デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務の貸借対照表計上額は時価によることとされました。契約締結時には損益は発生しませんが、その後の時価の変動により評価差額が発生します。この評価差額はヘッジに係るものを除き、当期の損益に反映させることになります。
デリバティブ取引の時価は一般に市場価格又はこれに基づく合理的な価額により求められますが、デリバティブ取引の対象となる金融商品に市場価格がないことにより公正な評価額を算定することが困難な場合には取得価額による評価も認められます。

金融商品
 株式、金利、為替など
時価変動のリスクあり
リスクヘッジの必要性
改訂日本基準による処理方法
 時価評価され,時価の変
 動による評価差額が当期
 の損益として認識される。
 例外として、ヘッジ会計
 あり。
デリバティブ取引
 先渡、先物、
 オプション、スワップ
投機目的

 

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