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持株会社のメリット・デメリット

 持株会社を設立することによって、社内の各部門をそれぞれ独立の会社にすることが可能になります。 独立の会社にすると、多くのメリットがありますが、反面、会社間の損益通算ができないことや事務作業が重複化するといった欠点(デメリット)もあります。

持株会社のメリット

 持株会社を設立して、それを活用することによって、次のようなメリットが生じます。

(1)部門の実態に応じた労働条件を確立できる
 持株会社が独立させた各社間の統制をとることによって、各部門によって異なる年齢構成や給与体系、勤務時間、休日のとり方などを検討し、その会社の実態に応じた労働条件に改定することができます。
例えば こんな会社には、メリットがあります。

  24時間稼働のコンピュータ会社
  日曜出勤の不動産会社
  許認可の必要な運送会社、倉庫会社
  小回りのきく修繕サービス会社

(2)リスクを回避できる
 持株会社が各社間の統制をとることによって、リスクが組織全般に及ばないようにリスクを分散・遮断し、リスクの回避を図ることができます。
例えば こんな会社には、メリットがあります。

  研究開発会社
  新規分野へ進出する会社
  損害賠償請求を受けるおそれのある会社

(3)コスト意識を認識させ、かつ、業績評価が明確になる
 持株会社が各社間の統制をとることによって、各部門を独立の会社として運営させるので、各社のコスト意識を認識させると同時に、各社の業績評価を明確にできます。
例えば こんな効果が期待できる

  金利負担により資金の効率的運用を図る
  減価償却費の負担により設備投資の効果を意識化
  人件費負担により人員削減と効率化の達成意識
  不良在庫、不良債権の適正処理により適正な財政状態と経営成績の把握に努める。

(4)各社間の摩擦が解消できる
 経営風土、歴史、従業員気質、社風などが異なる会社が合併して一つの会社になるには摩擦があります。
 そこで、合併しないで持株会社が両社を統制することによって、合併と同様な効果を発揮させることができます。

(5)事業承継や相続税対策として活用できる
 その他にも、事業承継相続税対策のために、持株会社を設立して活用する方法もあります。

 

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