目次 I-Q9


Q9 純資産価額方式による評価と注意点


 Question 9

私の所有する株式は、純資産価額方式で評価する株式だといわれました。純資産価額方式とは、どんな方式ですか。

ポイント 純資産価額方式とは、評価会社の課税時期における資産から負債及び、評価差額に対する法人税額等相当額を控除して評価額を求める方式です。


 Answer

■純資産価額方式とは

 純資産価額方式とは、評価会社の課税時期における資産(相続税評価額)から負債(相続税評価額)及び、評価差額に対する法人税額等相当額を控除して評価額を求める方式をいいます。

 具体的には、次の算式により求めます。

1株当た
りの純資
産価額
相続税評価額
により計算した
総資産価額
相続税評価額
により計算した
負債の額
評価差額に対
する法人税額
等相当(注)
÷ 課税時期に
おける発行
済株式数

    (注) 評価差額に対する
法人税額等相当額
相続税評価額に
よる純資産価額
帳簿価額による
純資産価額
×42%

 ただし、中会社及び小会社の純資産価額を求める場合で、株式の取得者とその同族関係者グループの持株割合が評価会社の発行済株式総数の50%未満であるときは、上記算式で求めた金額の80%相当額を1株当たりの純資産価額とすることとされています。

 この50%未満かどうかは、株式取得後の割合によって判定されることとなっており、また、同族株主がいない会社の株主についても同様に取り扱われることとされています。


■評価の注意点

 純資産価額方式により株式を評価する場合には、次のようなことに注意が必要です。

 (1)  通常、土地等や建物等は路線価や固定資産税評価額を基に評価しますが、課税時期前3年以内に取得した土地等、建物等の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価しなければなりません。(たな卸資産は除きます)

 (2)  繰延資産は、財産性がありませんので、評価額はゼロで評価をします。

 (3)  評価会社が所有する取引相場のない株式の純資産価額を求めるときは、評価差額に対する法人税額等相当額は控除することができません。

 (4)  課税時期以前に賦課期日のあった固定資産税の税額のうち、課税時期において未払いのものは負債に計上します。

 (5)  課税時期に属する事業年度にかかる法人税額、消費税額、事業税額、道府県民税額、市町村民税額のうち、その事業年度開始の日から課税時期までの期間に対応する金額は、負債に計上します。

 (6)  被相続人の死亡により、相続人その他の者に支給することが確定した退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与の額は、負債に計上をします。

 (7)  貸倒引当金、退職給与引当金、納税引当金、その他の引当金及び準備金に相当する金額は、負債に含めることはできません。

 (8)  評価会社が自己株式を有している場合は、資産の合計額からその自己株式の価額を除くとともに、発行済株式数からも自己株式数を控除します。

 

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