目次 II-3


3 経済産業大臣の認定

(1) 認定対象会社の要件

 「計画的な承継に係る取組に関する経済産業大臣の確認」を受けた中小企業者において、先代経営者(被相続人)が死亡し、事業承継税制の適用を受けようとする場合は、被相続人の死亡の日の翌日から10か月以内に「経済産業大臣の認定」を受ける必要があります。

 この認定を受けるための認定対象会社の要件は、次のとおりです。

(1)  中小企業者であること
(2)  上場会社等に該当しないこと
(3)  代表者(後継者)が相続税を納付することが見込まれること
(4)  性風俗関連特殊営業を営む会社でないこと
(5)  資産保有型会社・資産運用型会社に該当しないこと
(6)  総収入金額があること
(7)  常時使用する従業員の数が1人以上であること
(8)  申請者の特別子会社が、上場会社等に該当しないこと
(9)  代表者(後継者)が経営承継相続人であること
(10)  いわゆる「拒否権付株式(=黄金株)」を発行している場合において、その黄金株を経営承継相続人以外の者が有していないこと


[1] 中小企業者であること

 事業承継税制の対象となるのは、会社である中小企業者です。ここでいう中小企業者は、中小企業基本法が規定する中小企業者をベースとしつつ、政令により範囲が拡大された(色文字の部分)次のものをいいます。医療法人等は中小企業基本法上の中小企業者でないため、対象にはなりません。



[2] 上場会社等に該当しないこと

 中小企業者に該当する場合であっても、いわゆる上場会社や店頭登録会社は認定対象から除かれます。


[3] 代表者(後継者)が相続税を納付することが見込まれること

 事業承継税制の適用を受けるわけですから、中小企業者の代表者が相続又は遺贈(死因贈与を含みます。)により取得したその中小企業者の株式等に係る相続税を納付することが見込まれることが前提となります。


[4] 性風俗関連特殊営業を営む会社でないこと

 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)に規定する性風俗関連特殊営業に該当する事業を営む会社(風俗営業会社)に該当する会社は、認定を受けることができません。

区 分 内容と具体例
認定の対象外
である会社
風営法上の性風俗関連特殊営業を営む会社
(ソープランド、テレクラなど)
認定の対象
となる会社
風営法の規制対象事業であるが、性風俗関連特殊営業ではない会社
(バー、パチンコ、ゲームセンターなど)


[5] 資産保有型会社・資産運用型会社に該当しないこと

 資産保有型会社と資産運用型会社は、認定を受けることができません。


[6] 総収入金額があること

 中小企業者(申請者)の直近の事業年度における損益計算書上の総収入金額がゼロの場合は、認定を受けることができません。事業活動をしていない会社を除外するための要件です。通常の収益活動をしていれば、この要件を満たすことになります。


[7] 常時使用する従業員の数が1人以上であること

 認定申請者に常時使用する従業員がいない場合には、認定を受けることができません。

使用人兼務役員 使用人兼務役員は、常時使用する従業員の数に含まれます。
この場合は、使用人兼務役員が従業員としての身分を有することを証する書類(従業員給与が支給されていることが分かる給与明細の写しなど)の提出が必要となります。
家族従業員 常時使用する従業員には、他の条件が付されていませんので、いわゆる家族従業員も含まれることになります。


[8] 申請者の特別子会社が、上場会社等に該当しないこと

 申請者の特別子会社が上場会社等、大法人等又は風俗営業会社に該当する場合には、認定を受けることができません。


[9] 代表者(後継者)が経営承継相続人であること

 経営承継相続人とは、次の(1)〜(3)に該当し、かつその被相続人が(4)、(5)に該当する者をいいます。

要 件 留意事項


(1) 相続又は遺贈により申請者の株式等を取得した代表者であって、その代表者に係る同族関係者と合わせて過半数の議決権を有し、かつ、同族関係者の中で最も多くの議決権を有している者であること 定款等により代表権を制限されている者である場合には、認定を受けることはできません。
(2) 特定後継者(II−2参照)であり、かつ、被相続人(遺贈者を含みます。)の死亡の直前において申請者の役員であった者であること 申請者の代表者が確認に係る特定後継者でない場合であっても、認定を受けることができる場合があります(下記〔救済措置〕を参照)。
(3) 相続又は遺贈により申請者の株式等を取得した代表者は、認定申請日までの間、当該株式等を所有し続けていること 相続又は遺贈により取得した株式等の一部でも譲渡した場合は、認定を受けることができません。



(4) 申請者の代表者の被相続人が、「経済産業大臣の確認」を受ける際に定めた特定代表者であったこと 〔救済措置〕のa又はbのいずれかに該当する場合には、申請者の代表者の被相続人が当該確認に係る特定代表者でない場合であっても、認定を受けることができます。
(5) 申請者の代表者の被相続人が、その死亡の直前において、当該被相続人に係る同族関係者と合わせて過半数の議決権を有し、かつ、同族関係者(申請者の経営承継相続人を除きます。)の中で最も多くの議決権を有していた者であること


〔救済措置〕
 上記(2)の場合で、次のa〜cのいずれかに該当する場合には、申請者の代表者が当該確認に係る特定後継者でない場合であっても、認定を受けることができます。

救済措置の内容 理 由
その代表者(2人以上あるときは、そのうちのその中小企業者が定めた1人に限る。)が、その被相続人の親族であり、かつ、その被相続人が60歳未満で死亡した場合 通常は、計画的な事業承継に係る取組を行う年齢に達していないと考えられるからです。
その代表者が、その被相続人の親族であり、かつ、その被相続人の死亡の直前においてその中小企業者の役員であった場合であって、その被相続人の死亡の直前においてその代表者が有していたその中小企業者の株式等に係る議決権の数と相続(公正証書による遺言によってその中小企業者の株式等につき遺産の分割の方法が定められたものに限る。)又は遺贈(公正証書による遺言によって特定の名義で行われたものに限る。)により取得したその株式等に係る議決権の数の合計数が、総株主等議決権数の100分の50を超える数であるとき 実質的に、計画的な事業承継に係る取組が行われていると考えられるからです。
経済産業大臣の確認を受ける際に定めた特定後継者が、特定代表者が死亡するより前に死亡した場合であって、申請者の代表者がその確認に係る「新たに特定後継者となることが見込まれる者」(II−2参照)である場合 「経済産業大臣の確認」の際に、「新たな特定後継者となることが見込まれる者」の確認を受けているからです。


[10] 代表者(経営承継相続人)以外の者が黄金株を有していないこと

 申請者である中小企業者が拒否権付株式(黄金株)を発行している場合にあっては、その株式を代表者(経営承継相続人)以外の者が有していないことが、認定を受けるための要件となります。



(2) 経済産業大臣への認定手続

[1] 認定を申請するための手続

 事業承継税制の適用を受けるためには、中小企業者は、相続の開始前に、「計画的な承継に係る取組」に関する「経済産業大臣の確認」を受け、相続の開始後、被相続人の死亡の日の翌日から10か月以内に、「経済産業大臣の認定」を受ける必要があります。後者の「経済産業大臣の認定」については、「認定申請書」と添付書類を経済産業大臣(全国の地方経済産業局中小企業課で受け付けをします。)に提出して、認定の申請を行います。


〔認定申請書〕
 会社(従業員数起算日(注)、従業員数、特定資産の価額・運用収入の合計額、資産の総額、総収入金額等)、代表者及び特別子会社について、記載します。

(注) 従業員数起算日とは、申請者の経営承継相続人の被相続人の死亡の日又は経営承継相続人が代表者に就任した日のいずれか遅い日をいいます。「常時使用する従業員の数」(5人以上であることが認定要件の1つです。)を判定するための基準日となります。



〔添付書類と留意事項〕
(1) 定款の写し
(2) 株主名簿の写し
(3) 登記事項証明書 経営承継相続人の被相続人の死亡の日から認定申請日までの間に作成されたもの
(4)  相続税の見込額を記載した書類
経営承継相続人が相続又は遺贈により取得した申請者の株式等に係る相続税の見込額を記載した書類をいいます。具体例としては、税務署に提出予定の相続税申告書の写しを提出してください。(確定したものである必要はありません。)
(5) 従業員数証明書 厚生年金保険及び健康保険のそれぞれの標準報酬月額決定通知書が該当します。(政府管掌健康保険と厚生年金の場合は、一の通知書となります。)
厚生年金保険や健康保険の適用対象外である場合や75歳以上の従業員がいる場合は、これらの書類がありませんので、雇用契約書などの書類を提出することになります。
(6)  貸借対照表、損益計算書及び事業報告書
3月決算法人が平成21年9月1日を認定申請日とする場合は、次のようになります。
通常の場合 認定申請日の属する事業
年度の直前の事業年度分
平成21年3月期分
資産保有型会社又は資
産運用型会社等が事業
実態基準により、資産
保有型会社又は資産運
用型会社に該当しない
ものとみなされる場合
直前の3事業年度分
 平成19年3月期分
 平成20年3月期分
 平成21年3月期分
(注) 申請者に特別子会社がある場合は、その特別子会社の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を併せて提出する必要があります。
(7) 上場会社等又は風俗営業会社に該当しない旨の誓約書
(8)  特別子会社が上場会社等、大法人等又は風俗営業会社に該当しない旨の誓約書
(9) 戸籍謄本等 下記事項を証するために用いられます。
経営承継相続人がその被相続人の親族であること
株主又は社員が経営承継相続人又はその被相続人の親族であること
経営承継相続人の被相続人が60歳未満で死亡したこと
(10) 変更確認書 相続開始前の「経済産業大臣の確認」を受けた後に、「新たに特定後継者となることが見込まれる者」又は「事業承継計画書」に係る変更の確認を受けた場合には、その変更確認書も提出することが必要です。
(11) その他参考となる書類


[2] 認定の申請期限

 その中小企業者の代表者の被相続人の死亡の日の翌日から10か月以内に、認定申請書及び添付書類を経済産業大臣に提出する必要があります。


[3] 経済産業大臣の認定

 経済産業大臣が上記[1]の申請を受けた後に認定をしたときは、経済産業大臣から認定書が交付されます。また、認定をしない旨の決定があったときは、その旨の通知が行われます。


[4] 認定の有効期限

 事業承継税制に係る認定の有効期限は認定を受けた日(認定書の日付)の翌日から起算して5年を経過する日となります。

 

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