目次 II−54

 第5章 贈与税、相続税、譲渡所得税
 QU−54 寄付を受けた場合の税制上の扱いは
 一般社団法人や一般財団法人が財産の寄付を受けた場合に、税制上の扱いはどのようになりますか?

A 非営利型法人であれば受け取った寄付金に法人税は課税されませんが、非営利型法人以外の法人であれば、寄付金に法人税が課税されます。また、寄付により贈与税または相続税が不当に減少する結果となる場合には、法人に贈与税または相続税が課税されます。

●解説

 非営利型法人であれば、寄付金は収益事業ではありませんので、法人税は課税されません。一方、非営利型法人以外の法人であれば、すべての所得に対して課税がされますので、寄付金にも課税がされます。

 また、一般社団法人・一般財団法人に贈与または遺贈があった場合において、その贈与者または遺贈者の親族その他これらの者と特別の関係にある者の贈与税や相続税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合には、その一般社団法人・一般財団法人を個人とみなして贈与税または相続税が課税されます(相続税法第66条第4項)。その場合に、法人税を支払っている場合には、その支払った法人税は控除されます。

 これは、一般社団法人や一般財団法人を使って租税回避行為を行うことを防止するための規定です。

 例えば、一般財団法人を作り、そこに財産を寄付した上で、その寄付金を原資にして子どもに給与を支払うといったことを行う場合に、贈与税や相続税を不当に免れるというケースが出てくることが考えられます。そのような行為を防止するための規定です。

 なお、一般社団法人・一般財団法人に寄付をした場合には、寄付者については税制上の優遇措置はありませんので、寄付金控除等を受けることはできません。


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