目次 事例 6


 (事例6) 請負契約書(2)


請負契約書

   AとBは、請負契約を締結します。

    平成22年1月31日

     発注者  A   印マーク

     受注者  B   印マーク


 ここで、契約書と課税事項、重要事項の関係を理解する意味で、上記の文書の課否を判定することにします。


【 解 説 】

【1】  この文書は、当事者双方の記名もしくは署名、押印がありますから、何らかの契約書であることは判断できます。したがって、印紙税法上の契約書に該当することになります。

【2】  請負契約書とされていますので、請負契約書に該当することになります。請負という課税事項を証明しています。

【3】  しかし、この契約書では「請負」と記載されているものの、請負の内容、金額、その他本来であれば契約条項として記載されるべき内容の記載がありません。したがって、課税事項を証明するべき補完事項としての重要事項の記載がありませんので、課税文書には該当しないことになります。

【参考法令等】
(1)  基通第12条(契約書の意義)、同第17条(契約の内容の変更の意義等)、同第18条(契約の内容の補充の意義等)、同第38条(追記又は付け込みの範囲)
(2)  基通別表第二 重要な事項の一覧表
  「重要な事項」については、後の項で説明します。

【より深く理解するために!】
 課税物件表を見ていただくとわかるのですが、契約書関係はすべて「〜に関する契約書」と規定されています。なぜ「〜の契約書」もしくは「〜契約書」とされていないのでしょうか。
 これは先にもふれましたが、例えば「請負契約書」という課税物件にすれば、表題が請負契約書となっていなければならないというように、限定的にとらえられてしまう可能性があるからだと考えられます。文書の内容や記載事項、記載されている記号や符号、了解事項などを総合的に判断して課税される印紙税の課税趣旨も理由の一つでしょう。
 また、印紙税の課税文書の号別を決定するに当たり、複数の課税文書に該当する場合に、そのうちの一つに確定させることにもなっています。
 このような趣旨や事情などから考えて、「〜に関する契約書」とされているものと考えられます。

 

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