目次 II−2−2


2−2 総所得金額に対する調整額(米国市民又は米国居住者)

 所得金額(Income)に調整項目を加減算し、調整後総所得金額(AGI)を決定します。主な調整項目は、次の通りです。駐在員の方には、関係しないことが多いので、簡単に説明します。


1.引越費用 Moving expenses Form1040 Line26

 納税者が、仕事のために引越し、その費用を負担した場合の取扱いです。

 新しい職場への通勤距離が従来の通勤距離より50マイル以上離れており(Distance Test)、かつ、その新職場での最初の12ヶ月をフルタイムで最低39週勤務した場合には、家財運送費およびその旅費を引越費用として控除できます。ただし、雇用主から引越費用の実費弁済がある場合、この適用はありません。

 海外勤務者が、定年退職(以後、勤務しない場合)で米国に帰国する場合の帰国費用は、この引越費用の控除を受けられる場合があります。


2.自営業者税の1/2 One-half of Self-employment tax Form1040 Line27

 自営業者税の1/2の額が調整額として控除されます。


3.自営退職積立控除 Self-employed SEP, SIMPLE, and qualified plans Form1040 Line28

 自営業者、又はパートナーが、Self-employed SEP、SIMPLE、もしくは適格退職積立プランに積立を行った場合は、その年の積立額(限度額あり)を控除することができます。


4.自営業者医療保険控除 Self-employed health insurance deduction Form1040 Line29

 自営業者で利益がある場合、および、Sコーポレーションの2%超の株主で給料を受け取った場合、その支払った医療保険料を調整額として控除することができます。


5.預金早期引出の罰金 Penalty on early withdrawal of savings Form1040 Line30

 定期預金を満期日前に取崩したときに生じるペナルティの取扱いです。

 定期預金等を早期解約した場合のペナルティは、調整額として控除することができます。


6.IRA控除額 IRA deduction Form1040 Line32

  「個人退職アレンジメント」Individual Retirement Arrangements(Traditional IRA)勘定に投資した場合の取扱いです。投資額を控除することができ、最高投資可能額は、その年の給与の額と$4,000(2007年度Catch-up$1,000プラス)とのいずれか少ない金額となります。ただし、雇用主が提供している退職プランに加入している場合、投資可能額は減額されます。


7.学生ローン利息控除 Student loan interest deduction Form1040 Line33

 学生ローンの利息を支払っている場合の取扱いです。

 適格学生ローン利息を支払い、次の要件のすべてに該当した場合、最高$2,500(2007年度)まで控除することができます。適格学生ローンとは、納税者、その配偶者および扶養者の高等教育機関等の学費等を支払うためのローンのことです。


8.授業料控除 Tuition and fees deduction Form1040 Line34

 一定の条件を満たした場合、支払った大学授業料のうち最高$4,000(2007年度)までを控除することができます。ただし、調整後総所得金額(AGI)が、$80,000(夫婦合算$160,000)以下という所得制限があります。その所得が$65,001〜$80,000(夫婦合算$130,001〜$160,000)の場合は控除額は減少します。

 

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