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15 不正競争防止法とは? 不正競争行為とは何か

 不正競争防止法は、業者による公正な競争や、これに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止や損害賠償に関する措置を定めたものである。規制される行為の種類には、周知表示混同惹起行為、著名表示冒用行為、商品形態模造行為、営業秘密に関する不正行為、原産地・品質等誤認惹起行為、デジタルコンテンツの技術的制限手段を保護する等がある。

 中核的規定は周知表示混同惹起行為であり、注意が必要である。


  ●周知表示混同惹起行為(不正競争防止法2条1項1号)

 他人の商品などの表示として需要者の間に広く認識されているものと同一または類似の商品などの表示を使用などして、他人の商品または営業と混同を生じさせる行為をいう。

  * 商品などの表示
   人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器もしくは包装、その他の商品または営業を表示するものをいう。


●著名表示冒用行為(同法2条1項2号)

 自己の商品などの表示として、他人の著名な商品などの表示と同一または類似の表示を使用などする行為をいう。


●商品形態模倣行為(同法2条1項3号)

 他人の商品(発売日から3年内のもの)の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く)を模倣した商品を譲渡などする行為をいう。


●営業秘密に関する不正行為(同法2条1項4号ないし9号)

 他人の営業秘密(トレードシークレット)に関する不正行為を規制するものである。以下の行為がある。

 ○ 窃盗、詐欺、脅迫その他不正な手段により営業秘密を取得する行為(不正取得行為)、または不正取得行為により取得した営業秘密を使用・開示する行為(4号)

 ○ 不正取得行為があったことを知り、または重過失により知らないで、その営業秘密を取得、使用、開示する行為(5号)

 ○ 取得後に不正取得行為があったことを知り、または重過失により知らないで、その営業秘密を取得、使用、開示する行為(6号)

 ○ 営業秘密を適法に開示された後、不正の競業その他不正の利益を得る目的等で、その営業秘密を使用、開示する行為(7号)

 ○ 7号の不正開示行為などがあったことを知り、または重過失により知らないで、その営業秘密を取得、使用、開示する行為(8号)

 ○ 取得後に不正開示行為などがあったことを知り、または重過失により知らないで、その営業秘密を使用、開示する行為(9号)


●デジタルコンテンツの技術的制限手段の保護(同法2条1項10、11号)

 ○ 音楽、映像等提供事業者が、音楽、映像等の視聴または記録を一律に禁止するために技術的制限手段を用いている場合に、その技術的制限手段の効果を妨げる機能のみを有する装置等を譲渡等する行為を規制する(10号)

 ○ 音楽、映像等提供事業者が、契約の相手方あるいは契約により特定された者以外の者による音楽、映像等の視聴または記録を制限するために技術的制限手段を用いている場合に、その技術的制限手段の効果を妨げる機能のみを有する装置等を譲渡等する行為を規制する(11号)


不正の利益を得る目的等で、他人の特定商品等表示と同一もしくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、もしくは保有し、またはそのドメイン名を使用する行為(同法2条1項12号)


商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量等について、誤認させるような表示をしたり、表示をした商品を譲渡等する行為を規制する(同法2条1項13号)


競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知しまたは流布する行為(同法2条1項14号)

 

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