目次 3−1

 第3章 取得価額の決定
 3−1 減価償却資産の取得価額
取得形態による取得価額の算定 -----

 減価償却資産の取得価額は取得の形態により、それぞれ次に掲げる金額の合計額とされます。

 なお、取得価額に算入しないことができる付随費用については、法人がその資産を取得した事業年度において、その付随費用を取得価額に含める経理処理をした場合のみ取得価額とされます。

購入した場合

  • (1) 購入代価
  • (2) 購入のために要した取得経費の額
  • (3) 事業の用に供するために直接要した費用の額

自己で建設、製作又は製造をした場合

  • (1) 建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額
  • (2) 事業の用に供するために直接要した費用の額

牛馬等を自己で育成させた場合

  • (1) 購入代価
  • (2) 購入のために要した取得経費の額
  • (3) 種付及び出産のために要した費用の額
  • (4) 生育のために要した飼料費、労務費及び経費の額
  • (5) 事業の用に供するために直接要した費用の額

▼牛馬等とは
 牛、馬、豚、綿羊、やぎ が該当します。

果樹等を自己で成熟させた場合

  • (1) 購入代価
  • (2) 購入のために要した取得経費の額
  • (3) 種苗のために要した費用の額
  • (4) 成熟のために要した肥料費、労務費及び経費の額
  • (5) 事業の用に供するために直接要した費用の額

▼果樹等とは
 かんきつ樹、りんご樹、ぶどう樹、なし樹、桃樹、桜桃樹、びわ樹、くり樹、梅樹、かき樹、あんず樹、すもも樹、いちじく樹、キウイフルーツ樹、ブルーベリー樹、パイナップル、茶樹、オリーブ樹、つばき樹、桑樹、こりやなぎ、みつまた、こうぞ、もう宗竹、アスパラガス、ラミー、まおらん、ホップ が該当します。

適格組織再編により取得した場合
○適格合併等[適格合併・適格現物分配(残余財産の全部分配に限る)]

  • (1) 被合併法人等の適格合併等の日の前日又は残余財産の確定の日の償却限度額の計算
  • の基礎となる取得価額
  • (2) 事業の用に供するために直接要した費用の額

○適格分割等[適格分割・適格現物出資・適格現物分配(残余財産の全部分配を除く)]

  • (1) 分割法人等の適格分割等の日の前日の償却限度額の計算の基礎となる取得価額
  • (2) 事業の用に供するために直接要した費用の額

上記以外の方法により取得した場合

  • (1) 取得時におけるその減価償却資産の取得のために通常要する価額(時価)
  • (2) 事業の用に供するために直接要した費用の額

消費税の留意点 -----

 減価償却資産の取得価額について、消費税の額を含めるかどうかは、法人の採用している消費税の経理方式によって変わります。

 税込経理を採用していれば消費税を含んだ金額が取得価額となり、税抜経理を採用していれば消費税を含まない金額が取得価額となります。また、消費税の課税事業者でない免税事業者の場合は、消費税を別に支払っていても、その額を含めた金額が取得価額となります。

 なお、受贈、交換、代物返済等によって取得した資産の時価についても、消費税相当額を考慮して上記と同様に取得価額を決定します。

圧縮記帳をした場合の留意点 -----

 対象資産について圧縮記帳の適用を受けた場合には、圧縮記帳前の取得価額から圧縮記帳による税務上の損金算入額を差し引いた金額(圧縮記帳後)の帳簿価額をもって取得額とします。

 なお、少額な減価償却資産の適用を受けるための判定の基礎となる取得価額は、圧縮記帳前の取得価額で判定しますので、注意が必要です。


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