目次 Q1-5


 Q1−5 同族株主の定義

 同族株主、同族関係者、中心的な同族株主、中心的な株主の定義について教えてください。


  解  説  

[1]同族株主の定義

 同族株主とは、課税時期におけるその株式の発行会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上である場合におけるその株主及びその同族関係者をいいます。

 ただし、その株式の発行会社の株主のうちに、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超のその株主及びその同族関係者をいうこととされています。つまり、50%超の株主グループがいる場合には、たとえ他に30%超の株主グループがいたとしても、その30%超の株主グループは同族株主とは取り扱われません。

 なお、ここでいう「株主の1人」とは納税義務者に限りません。


[2]同族関係者の定義

 同族関係者とは法人税法施行令 4条に規定する特殊の関係にある個人または法人をいい、まとめると次のようになります。

  区分 内 容




個人 (1) 株主等の親族(配偶者、6親等以内の血族及び3親等以内の姻族)
(2) 株主等と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
(3) 個人株主等の使用人
(4)  (1)〜(3)以外の者で個人株主等から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの
(5) (2)〜(4)と生計を一にするこれらの者の親族
法人
(1)  同族会社であるかどうかを判定しようとする会社の株主等の1人※1が、他の会社を支配している場合における当該他の会社(例1
  ※1  その株主等が個人である場合には、その1人及び上記の個人たる同族関係者が、他の会社を支配している場合における当該他の会社(以下(2)・(3)において同じ)
(2)  同族会社であるかどうかを判定しようとする会社の株主等の1人及び上記(1)の会社が他の会社を支配している場合における当該他の会社(例2
(3)  同族会社であるかどうかを判定しようとする会社の株主等の1人及び上記(1)及び(2)の会社が他の会社を支配している場合における当該他の会社(例3
  ※2  上記(1)〜(3)における他の会社を支配している場合とは次のいずれかに該当する場合をいう
    (1)  他の会社の発行済株式総数または出資総額(いずれも自己株式等を除く)の50%超の数または金額の株式または出資を有する場合
    (2)  他の会社の次に掲げる議決権のいずれかにつき、その総数(当該議決権を行使することができない株主等が有する当該議決権の数を除く)の50%超を有する場合
       事業の全部もしくは重要な部分の譲渡、解散、継続、合併、分割、株式交換、株式移転または現物出資に関する決議に係る議決権
       役員の選任及び解任に関する決議に係る議決権
       役員の報酬、賞与その他の職務執行の対価として会社が供与する財産上の利益に関する事項についての決議に係る議決権
       剰余金の配当または利益の配当に関する決議に係る議決権
    (3)  他の会社の株主等(合名会社、合資会社または合同会社の社員(当該他の会社が業務を執行する社員を定めた場合には、業務執行社員)に限る)の総数の半数超を占める場合
(4)  同一の個人または法人の同族関係者たる個人または法人が、同族会社の判定をしようとする会社の株主であるときは、その同族関係者である2以上の会社は、相互に同族関係者であるものとみなされる


[3]中心的な同族株主、中心的な株主の定義

(1)中心的な同族株主とは

 相続、遺贈時または贈与時において、同族株主の1人ならびにその株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち、これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である会社を含みます)の有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の25%以上である場合におけるその株主をいいます。

 なお、中心的な同族株主になるか否かの判定については、株主個々に判定を行う必要があります。そのため、ある株主が他の同族株主にとって中心的な同族株主の判定の基礎に含まれる場合であっても、そのある株主を基礎としてその判定を行った場合には、その株主が中心的な同族株主とならないケースがあるので留意が必要です。

(2)中心的な株主とは

 相続、遺贈時または贈与時において、同族株主がいない会社の株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である株主グループのうち、いずれかのグループに単独でその会社の議決権総数の10%以上の議決権を有している株主がいる場合におけるその株主をいいます。

   (例1)
例1


   (例2)
例2


   (例3)
例3


 (参考)親族の範囲
(参考)親族の範囲
  *1 親族とは、丸数字16親等以内の血族、丸数字2配偶者、丸数字33親等以内の姻族、をいいます。
  *2 ○は血族、□は姻族

 

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