5 償却限度額の計算
 
 (1) 損金算入される償却費

 損金に算入される減価償却費は、法人が償却費として損金経理した金額のうち、その資産について選択した償却方法によって計算した償却限度額に達するまでの金額です(法31(1))。つまり法人税法では、減価償却を行うか否かは法人の意思にゆだねる(任意償却)とともに、減価償却を行った場合でも、無制限に損金算入を認めることとはしないで一定の償却限度額を設けています。
 したがって、損金経理した減価償却費のうち税務上の償却限度を超過する金額は申告書の別表4で加算します。逆に、償却不足額は当期の損金には算入されず、もちろん翌期の償却限度額に繰り越して上乗せすることも認められません。償却不足額はその固定資産の帳簿価額に残留して、耐用年数経過後の期間に償却費として損金経理すれば損金に算入されます。
 ただし、前期以前に償却超過の生じている資産は、償却不足額の範囲内でその繰越償却超過額が「認容」され、当期の損金に算入されます(法31(2))。

 (2) みなし償却費

 「償却費として損金経理した金額」とは、減価償却費の科目で損金経理した金額をいいます。税務上は、減価償却の方法によらないで取得価額の全部または一部を損金算入しても、その金額は損金に算入されないのですが、次のような金額については償却費として損金経理したものとして取り扱われます(基通7−5−1)。したがって、損金経理した本来の償却費とこれらの金額の合計額について、償却限度額に達するまで損金算入が認められます。
 
(1) 減価償却資産の取得価額に算入すべき付随費用(引取運賃、購入手数料など)のうち原価外処理(期間費用処理)した金額
(2) 修繕費として経理した金額のうち資本的支出とみなされ損金に算入されなかった金額
(3) 無償または低廉で取得した資産につき取得価額として経理した金額が、税務上の取得価額に満たない場合のその満たない金額
 無償で取得した資産を帳簿に計上しない(簿外資産とした)場合は、確定した決算で損金経理していないので、原則としてその取得価額の全額が資産に計上されます。ただし、減価償却に関する明細書(別表16)にその資産計上すべき金額を記載し申告調整していれば、その記載した金額は「償却費として損金経理した金額」に該当するものとされます(基通7−5−2)。
(4) 除却損または評価損のうち損金に算入されなかった金額
(5) 少額の減価償却資産(おおむね60万円以下)または耐用年数が3年以下の資産の取得価額を消耗品費などで損金経理した場合のその金額
(6) 圧縮限度額を超えて帳簿価額を減額した場合のその超過額
 
 
 (3) 期中取得資産の取扱い
 
 事業年度の中途で取得して事業の用に供した減価償却資産(期中取得資産。営業権は除きます)の償却限度額は、次の算式により「月割り計算」した金額です(令59(1))。
 
 【算式】
その資産が期首からあるも
のとした場合の償却限度額
×
その資産を事業の用に供
した日から期末までの月数
事業年度の月数
=償却限度額
 
 月数に1か月未満の端数を生じたときは1か月とします(令59(2))。

 
 (4) 増加償却
 
 機械装置の法定耐用年数は、各業種の平均的な使用時間を基準に算定されています。したがって、平均的な使用時間を超えて稼働させたため損耗が著しいときは、償却額を増額するのが妥当と考えられます。そこで法人税法では、通常の使用時間を超える“超過使用時間”に応じて償却率を増加させる「増加償却」の制度を設けています。
 増加償却の適用を受ける機械装置の償却限度額は、次の算式で計算します(令60、規20)。

 【算式】
普通償却限度額×(1+増加償却割合)=償却限度額
増加償却割合× 小数点以下2
位未満切上げ
=1日あたりの超過使用時間数× 35
1,000
 
 各種機械装置の「通常の使用時間」は、耐用年数通達の付表5に示されています。

 なお、増加償却の適用を受けるためには、次のいずれにも該当しなければなりません。
 (1) 定額法または定率法を採用している機械装置であること
 (2) 増加償却割合が10%以上であること
 (3) 申告書の提出期限までに所定の届出書を提出すること

 

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