減価償却実務処理のポイント

 建物、機械装置、什器備品などの固定資産は、利用ないし時の経過にともなって価値が減少します。そして同時に、使用期間(耐用年数)を通じてその取得価額が徐々に費用化され、この手続のことを「減価償却」といいます。

 企業会計に対して、法人税法上の減価償却は次の点に特徴があります。

 (1)  法定償却範囲額の限度内で任意に減価償却額を決定(「任意償却」)できること(法31(1))
 所得税法では「強制償却」とされているので(所法49(1))、償却不足額は永久に切り捨てられますが、法人税法上は償却不足額が帳簿価額に残ります。
 (2)  課税の公平化の観点から、減価償却額の計算について法令で詳細に規定していること(償却方法、耐用年数、残存価額 etc.)


1 減価償却資産の範囲

 (1) 償却対象資産

 減価償却の対象となる資産は次のとおりです(法2XXIV、令13)。

減価償却資産 有形固
定資産
(1)建物及び附属設備 (2)構築物 (3)機械及び装置 (4)車両運搬具 (5)工具、器具及び備品 (6)船舶 (7)航空機
無形固
定資産
(1)特許権 (2)実用新案権 (3)意匠権 (4)商標権 (5)ソフトウェア F営業権 etc.
生 物 (1)牛、馬などの動物 (2)植物注
 鑑賞用や興行用の生物は、有形固定資産の備品に該当します。

 ただし、これらの資産であっても、次のようなものは減価償却資産とされません。

 b棚卸資産
 b有価証券
 b繰延資産
 b事業の用に供していないもの
 b時の経過により価値が減少しないもの

 税務上、事業の用に供されていない固定資産は減価償却資産に含まれませんから(令13かっこ書)、稼働休止中や建設中の資産は、原則として減価償却が認められません。ただし、次のようなものは減価償却資産です。

 (1)  稼働を休止していても、その休止期間中に必要な維持修繕が行われ、いつでも稼働できる状態にあるもの(基通7−1−3)
 (2)  他の場所で使用するため移設中の固定資産で、その移設期間が通常要する期間であるもの(基通7−1−3(注))
 (3)  建設中の建物や機械装置で建設仮勘定として表示されているものであっても、部分的に完成し事業の用に供されている場合のその部分(基通7−1−4)

 (2) 非減価償却資産

 固定資産のうち次のものは、利用ないし時の経過によって価値が減少するものではないので、減価償却ができません(法2XXIII、基通7−1−1)。

非減価償却資産 土地
土地の上に存する権利(借地権、地上権など)
電話加入権
 自動車電話や携帯電話の契約料は、電気通信施設利用権(無形固定資産)なので(基通7−1−9)、少額減価償却資産の取扱いを適用して、一時に損金算入できます。
書画骨とう
 美術品で1点20万円(絵画は号2万円)未満のものは、減価償却資産とすることができます(基通7−1−1(注))。

 

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