| a |
自分の将来像についての考え方 (図表3)
i)「出世してお金持ちになりたい」のはタイ、ベトナム
筆者としてはこの項目はいずれの国でも高くなると予想していましたが、中国が非常に低いのが意外でした。タイ、ベトナムは予想どおりこの比率が高くなっていました。
ii)「好きなことをやって暮らしたい」のは中国、タイ
中国・タイではこの項目を支持した者が非常に多かったのに対し、ベトナム・インドでは非常に低くなっています。また、図表3から明らかなように、中国では「出世して、お金持ちになりたい」と答えた割合が非常に低い一方で、「好きなことをやって暮らしたい」という比率が高くなっていました。これは調査対象となった地域が上海等の都市部であり、かつ回答者は一人っ子世代であることが多いことから、すでに物質的にも恵まれているため、ハングリー精神がその分他国より低い傾向にあるのではないかと思われます。
iii)「尊敬される人間になりたい」のがインド
「好きなことをやって暮らしたい」とする比率が一番低いインドは、自分の将来像として「尊敬される人間になりたい」とした者が圧倒的に多くなっていました。
このように自分の将来像については、国によってかなりばらつきがあることがわかりました。
図表3 自分の将来像についての考え方
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自分の仕事に関して、自他共に認める実力人間になりたい |
多くの人から親しまれ、尊敬される人間になりたい |
主義や信念など心のよりどころをしっかりもった人間になりたい |
出世して、お金持ちになりたい |
安定した家庭を築きたい |
物事にとらわれず、好きなことをやって暮らしたい |
その他 |
| 中国 |
23.53% |
19.61% |
7.84% |
2.94% |
8.82% |
36.27% |
0.98% |
| タイ |
20.20% |
3.03% |
2.02% |
27.27% |
21.21% |
24.24% |
2.02% |
| ベトナム |
26.00% |
12.00% |
13.00% |
32.00% |
5.00% |
12.00% |
0.00% |
| インド |
22.86% |
38.10% |
7.62% |
13.33% |
16.19% |
1.90% |
0.00% |
|
| b |
ナショナルスタッフの職業観 (図表4)
ナショナルスタッフの職業観を「勤め上げ指向」「転職指向」「企業家指向」に分けて集計したところ、インドは勤め上げ指向が一番強く、ついで中国、ベトナム、タイの順となっていました。一方、企業家指向が強かったのはタイ、ついでベトナム、インド、中国の順となっています。
また、タイを除いた3か国で総じて勤め上げ指向の傾向が高いのは、その国の若者の特徴というよりは、「解雇されにくい日本企業で落ち着いて働きたい」という嗜好を持つ人が、日系企業を選んでいることに起因するのかもしれません。
いずれにせよ、日系企業に勤務する人材については、この調査をみる限り、転職志向はそれほど高いとはいえず、施策次第では、有能な人材の定着を図ることができると推定されます。
図表4 ナショナルスタッフの職業観
| ナショナルスタッフの職業観別グループ分け |
中 国 |
タ イ |
ベトナム |
インド |
勤め上げ指向
グループ |
1つの会社に長く勤め徐々に管理職 |
55.2% |
24.2% |
40.4% |
70.7% |
| 1つの会社に長く勤め専門家 |
転職指向
グループ |
幾つかの会社経験で徐々に管理職 |
32.3% |
33.7% |
35.4% |
15.2% |
| 幾つかの会社経験で専門職 |
企業家指向
グループ |
若い頃は雇われ、その後独立 |
12.5% |
42.1% |
24.2% |
14.1% |
| 若い頃から独立 |
|
| c |
仕事を選ぶ際の重視項目 (図表5)
「能力を活かせる」「先行き展望がある」「成長の機会がある」「高い収入が得られる」といった項目についてはいずれの国においてもほとんどの回答者が重視していましたが、「社会的評判が良い」という項目については、インド・ベトナムでは多くの回答者が重視項目とあげていた一方、タイ・中国ではこの比率が相対的に低いのが特徴的でした。
つまり給与や安定、福祉といった“衛生要因”はナショナルスタッフにとって職場への定着を促す必須要因ではあるものの、それと同様またはそれ以上に能力活用、先行き展望という“促進要因”が仕事を選ぶ際の重視項目となっていることがこの調査結果から明らかになっています。
| |
中 国 |
タ イ |
ベトナム |
インド |
(平均) |
| 衛生要因 |
高収入 |
58.4 |
57.9 |
58.2 |
43.4 |
54.5 |
| 安定 |
52.6 |
53.6 |
43.1 |
57.9 |
51.8 |
| 福祉 |
62.8 |
57.9 |
50.2 |
57.9 |
57.2 |
| 少拘束時間 |
37.4 |
44.2 |
24.0 |
31.9 |
34.4 |
| (平均) |
52.8 |
53.4 |
43.9 |
47.8 |
49.5 |
| 全体での割合 |
52.2 |
52.6 |
45.1 |
48.2 |
49.6 |
| 促進要因 |
能力活用 |
62.2 |
56.8 |
59.3 |
60.8 |
59.7 |
| 先行き展望 |
55.2 |
46.3 |
56.2 |
52.1 |
52.4 |
| 習得技術・自己成長 |
55.8 |
54.7 |
58.2 |
37.7 |
51.6 |
| 責任・権限 |
42.5 |
56.8 |
51.2 |
55.0 |
51.4 |
| チャレンジ |
48.8 |
54.7 |
50.2 |
52.1 |
51.5 |
| 社会貢献 |
35.5 |
42.0 |
52.2 |
40.6 |
42.6 |
| 社会的評判 |
38.7 |
25.2 |
47.2 |
60.8 |
43.0 |
| (平均) |
48.4 |
48.1 |
53.5 |
51.3 |
50.3 |
| 全体での割合 |
47.8 |
47.4 |
54.9 |
51.8 |
50.4 |
| (注) |
アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーツバーグが提唱したニ要因理論(動機付け・衛生理論)によると、「衛生要因」とは、不足すると職務不満足を引き起こすが、一定以上に満たしたからといっても満足感につながるわけではない。一方、「促進要因」とは、満たされると満足感を覚えるが、欠けていても職務不満足を引き起こすわけではない。 |
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