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3.特定の事業用資産の買換特例

 特定事業用資産の買換特例とは、個人が事業用資産(店舗・事務所・賃貸用マンションやその敷地)を譲渡し、一定の要件に該当する事業用資産に買換えた場合に、その譲渡資産の譲渡代金の一部について課税の繰延べが認められる制度です。


■特例のあらまし

 個人が、平成26年12月31日までに事業用の特定の土地建物等を譲渡し、原則としてその譲渡をした日の属する年の前年から翌年末までに一定の要件に該当する土地建物等を取得して、その取得後1年以内に事業の用に供した場合、譲渡資産の譲渡益のうち買換資産に対応する部分の80%に相当する部分については、課税の繰延べが行われ、譲渡所得は課税されません。

 しかし、譲渡資産の譲渡益のうち買換資産に対応する部分の20%に相当する部分は、課税の繰延べがされず、譲渡があったものとして課税されます。


■取得価額の引継ぎと取得時期の非引継ぎ

 この特例の適用を受けた買換資産は、その後の減価償却費の額を計算する場合やその買換資産を譲渡したときの取得費を計算する場合には、購入代金をもとにして計算するのではありません。譲渡した資産の取得費をもとに計算します。

 また、この特例の適用を受けた場合は、譲渡資産の取得時期を引き継ぎませんので、買換え後その買換資産を短期間で売却した場合には、以前の低い取得費で計算した多額の譲渡益に対して、短期譲渡所得の高い税率で所得税・住民税が課税されることになります。

 

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