目次 II-10


 10 個人と同族会社の間で譲渡する場合

 個人と同族会社の間で土地等の譲渡をする場合は、それが適正な価額で取引されているときは問題ありません(通常の課税)が、譲渡対価と時価に差があるときは、次のような課税関係が生じます。

(1)売主が個人、買主が同族会社の場合

(1)売主個人に対する課税

(イ)譲渡対価が時価以下の場合

 譲渡対価が時価の2分の1未満であるときは、時価により譲渡があったものとみなされ譲渡所得税が課税されますが、2分の1以上であるときは、その譲渡対価が譲渡収入金額となります。

(ロ)譲渡対価が時価を超える場合

 譲渡対価が時価を超える場合は、その超える部分は会社からの贈与となり、個人の一時所得となります(会社の役員又は使用人の場合は給与となります)。

(2)買主同族会社に対する課税

(イ)譲渡対価<時価の場合

 時価との差額は、受贈益として認定されます。

(ロ)譲渡対価>時価の場合

 時価との差額は、寄付金となります(個人が会社の役員又は使用人の場合は給与となります)。


(2)売主が会社、買主が個人の場合

(1)売主会社に対する課税

(イ)譲渡対価<時価の場合

 時価との差額は益金に算入されます。また、個人に対して贈与したものとして、寄付金(個人が役員又は使用人の場合は給与)課税がされます。

(ロ)譲渡対価>時価の場合

 譲渡対価は益金に算入されます。

(2)買主個人に対する課税

(イ)譲渡対価<時価の場合

 時価との差額は、会社からの贈与として、一時所得の課税対象となります(会社の役員又は使用人の場合は給与となります)。

(ロ)譲渡対価>時価の場合

 時価との差額は、個人から会社への寄付金となりますが、特に課税関係は生じません。

 

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