目次 II-3


 3 相続した土地等を譲渡する場合

(1)特例の概要

 相続又は遺贈(死因贈与を含みます。以下「相続等」といいます)により財産を取得した個人が、相続税の課税価格の計算の基礎に算入された資産を、その相続等に係る被相続人の死亡の日の翌日からその相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に譲渡した場合には、その譲渡所得の計算については、相続税額のうち一定の金額を、その譲渡した資産の取得費に加算して控除することができます。

 ※1  相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産で、相続税の課税価格に加算されたものも対象となります。
 ※2  限定承認をした相続又は包括遺贈により取得した財産には、この特例の適用はありません。
 ※3  ここでいう譲渡には、借地権の設定に伴う権利金の額がその土地の価額の2分の1を超えるため譲渡所得とされる場合の、不動産の貸付けも含まれます。


(2)取得費に加算される金額

 取得費に加算する金額は、譲渡した資産が土地等かそれ以外かに応じて、それぞれ、次のように取り扱われます。

(1)譲渡した資産が土地等の場合

  相続等により取得した土地等(相続開始前3年以内に被相続人から贈与された土地等で相続税の課税価格に加算されるものを含み、物納した土地等及び物納申請中の土地等を除きます)について分母の課税価格に算入された価額の合計額
確定相続税額×
  確定相続税額の計算の基礎となった相続税の課税価格(債務控除前の金額)

今回の譲渡に係る土地等以外の土地等の
譲渡について取得費に加算された金額
=取得費に加算される金額

【例】 昭和50年に被相続人が取得した土地を平成16年に売却
    ・譲渡価額  5,000万円
    ・取得費不明  5,000万円×5%=250万円
    ・譲渡費用    200万円
    ・相続税額  1,500万円
    ・課税価格      1億円
    ・相続した土地等の合計額  4,000万円
    取得費に加算される金額=1,500万円×4,000万円÷1億円=600万円
    課税長期譲渡所得 =5,000万円−(250万円+200万円+600万円)
  =3,950万円
    所得税、住民税額 =3,950万円×20%=790万円
     ※ 取得時期は被相続人が取得した日となります(I−8を参照してください)。


(2)譲渡した資産が土地等以外の場合

確定相続税額× 譲渡した資産について分母の
課税価格に算入された価額
=取得費に加算される金額
確定相続税額の計算の基礎
となった相続税の課税価格


(3)申告手続

  この特例の適用を受けるためには、資産を譲渡した日の属する年分の確定申告書に、その適用を受けようとする旨を記載するとともに、次に掲げる書類を添付して、その提出期限内に住所地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

 (イ)  譲渡所得の内訳書(計算明細書)
 (ロ)  相続の開始があった日及び相続税の申告書を提出した日、取得費に加算する金額の計算等の明細書、相続税額、課税価格の資産ごとの明細

 

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