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1 相続した土地の売却が増税になる!

 「相続税の申告期限から3年以内に土地を売ると譲渡所得税等が軽減される」といわれた「相続税取得費加算(措法39)」が平成26年度の税制改正で見直され、実質的に大幅な増税に直結することとなる。

 これまで、この取得費加算の制度は、「相続した土地」を相続税の納税資金のために売却すること、あるいは納税目的でなくとも、売却して資産の組換えをするうえでも大変に有用な制度であった。しかし、平成26年度税制改正により、そのメリットが使えなくなることとなった。

 このため、相続税の負担が重い土地資産家にとっては、相続税の基礎控除の改正による増税よりも、むしろこの取得費加算の改正の方が影響が大きくなる可能性が高く、この改正への対応策をよく考えておかないと、相続税の負担で大きく財産を失う状況に陥る危険性もあるので要注意である。

 取得費加算の改正が適用されるのは、平成27年1月1日以後の相続により取得した土地の売却に係る譲渡所得税であるため、その相続税の申告期限が到来する時点前後、「相続税の納税のために不動産を売却する」という段階になって譲渡所得税に関する問題が浮上してくる可能性が高いものと考えられる。そのため、平成27年1月以降に開始した相続においては、納税対策の実務対応で取得費加算の改正による譲渡所得税の問題がクローズアップされることが見込まれる。

 

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