納付書事前送付の取止めと申告書控等への受付印省略
黒田「リエさんこんにちは、御社にはあまり影響はありませんが、納付書事前送付と受付印について念のため説明いたします。」
リエ「こんにちは、納付書の事前送付というのは、税金の申告納付時期に税務署から事前に納付書が送付されてきますが、それのことですか。」
黒田「はい、リエさんがおっしゃる通り申告納付期限が近付くと税務署から納付書が送られてきていました。決算の時には法人税・地方法人税・消費税及び地方消費税の納付書が送付されましたし、予定納税の申告納付期限の時も同様でした。」
リエ「その送付を取り止めるということですね。弊社の納税は全て電子納税ですから特に問題はありませんが、いつからですか。」
黒田「令和6年5月からです。」
リエ「そうしますと、弊社は3月決算ですから5月末に申告納付期限が到来するわけですが、もう税務署から納付書が送られてこないということですね。」
黒田「そうなります。」
リエ「でも、消費税の予定納税は3ヵ月ごとなのでつい忘れがちなところ、納付書が届くのでうっかり忘れずに済んでいるというところもありますので、消費税の予定納税は少し不安です。」
黒田「それは大丈夫です。源泉所得税の納付書と消費税の予定納税にかかる申告書兼納付書は引き続き送付するとのことです。」
リエ「でしたら弊社は特に不都合はありませんね、安心しました。それと受付印についてでしたか。」
黒田「はい、こちらも電子申告をされている御社ではあまり関係ありませんし、実施時期も令和7年1月からということで少し先の話です。通常税務署に申告書を提出した場合、納税者側で保管する控に受付印を押してくれます。その受付印が控に押印されることで、それと同じものが税務署に提出されていることの証明になっていました。」
リエ「以前は弊社も持参や郵送で提出していましたので、控には受付印が押されていましたね。今後は受付印を押してくれなくなるということですか。」
黒田「そうです。令和7年1月からは税務署の窓口へ持参しても郵送でも受付印は押さないこととするようです。」
リエ「納付書にしても受付印にしても税務署の手抜きの話にしか聞こえませんが……。」
黒田「税務署の業務効率向上という効果もあるとは思いますが、本来の目的は政府の『デジタル社会の実現に向けた重点計画』を踏まえて、納税者の利便性向上の観点から、国税に関する手続きや業務の在り方を見直した結果だそうです。」
リエ「納税者の利便性が向上しているようには思えませんが。それに紙で申告書を提出している会社は、金融機関などから申告書の控を提出するように言われたらどうしたらいいのでしょう。今までは受付印のない申告書等は控として認めてもらえませんでしたよね。」
黒田「その通りです。金融機関に限らず助成金等を担当する行政機関も同様に、受付印が押印された控を求めてきます。ただ、そういった点については既に国税当局から関係各所に、令和7年1月以降は申告書等の控に受付印の押印を求めないようにお願いしたそうです。」
リエ「だからといって、金融機関等が受付印もない申告書と決算書だけで信用してくれるものでしょうか。」
黒田「確かにその心配はあります。いくら国税当局がお願いしたところで申告書控の信頼性が担保されるわけではありませんから。ただ、電子申告の開始届を提出してくれれば、紙で申告していてもe-Taxのマイページという機能は使えるそうですので、その機能を今後充実させることでそういった問題に対応できるように検討を進めていくそうです。」
リエ「税務署の業務だけ楽になりました、で終わらないようにして欲しいですね。説明して頂いてありがとうございました。」