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経営コーチコラム

  八戸経営会計事務所の経営コーチ事例


日本経営コーチ協会理事
税理士・経営コーチ  西川 弥生



 私の事務所、八戸経営会計事務所の経営コーチの活躍事例をご紹介します。

 その経営コーチが担当する、某クライアントは創業50年。社長は年齢が80歳近くでまだ健在です。

 副社長は50代で、娘婿。社長、副社長の下に役員が5〜6人。役員の年齢は40〜50代。この会社は社長がとても頑張ってきた。人脈があり、とにかく、仕事を取ってきた。社員は、そんな社長のリーダーシップに慣れている。一方、副社長は涙もろく、とても良い人。担当の経営コーチ曰く「友達には良いが、会社でその人についていけるか疑問」と。

 そのクライアントは資金繰りが良くない状況が続いています。資金繰りが悪くなると、会社の雰囲気、人間関係をも悪くしてしまいます。

 この会社の問題点は「“副社長にリーダーシップが無い”と社員が思っている」ところにあります。社長の年齢が高齢なため、いずれは副社長についていかねばならない事は社員も予期していますが、社員が知っているリーダーシップの形は、現社長の「俺が仕事をとってくる」という、上からのリーダーシップ。

 人間は、自分の知っている事の範囲は、自分の経験した事の域を出ないもの。ずっとこの会社に在籍してきた社員としては、“上からではないリーダーシップ(副社長)”に慣れず、(副社長に対する)理解が難しいのでしょう。

 そんなゴタゴタが社内にあるクライアントのところに経営コーチが訪問し、話を聞き、話をします。「その副社長を責める事ばかりがあなた達のすべきことではない」等、とにかく時間をかけて話をしているのです。しかし先方の役員達は「あそこが悪い」「ここが悪い」と批判するばかりで結論が出ません。改善点も探せない。何度訪問しても話は進展せず、何度も同じ話、愚痴を聞く度に、経営コーチは懇切丁寧に諭して帰ってくる。そんな事が随分長い間続いたものです。

 昨年末、ある会合で私(西川)がその会社の役員の一人と同席になった際、「どうですか?最近。」と聞いてみたところ、その役員はこう言いました。「今までは副社長のことをダメだダメだとばかり思ってきたが、それじゃ何かいけないのかもしれないなと思いはじめたんです」と。そしてその役員は「(先生のところの経営コーチさんが)すごく熱心に僕達に接してくれるんですよ。あんなに僕達の事を考えてくれているんだなと思って、その熱意がとっても伝わってきました」と言っていた。更に「副社長がどうこうではなく、僕達にできることをこれから頑張ります」とも。

 経営コーチの仕事は、持っていきたいゴールが経営コーチに見えている事でも、クライアントにはそのゴールが見えないために、ゴールに導くのにとても時間がかかるかもしれません。相手に伴走していくのに回り道をしているように思えるかもしれませんが、ぜひ根気強く頑張ってほしいものです。当事務所の経営コーチは、相手の会社の事を考えています。それはつまり、芯がブレていないという事だと思のです。

 税務署の調査の立会の際にも、税務署の担当官からも「この人、良い職員さんでしょ」と褒められるほど、当事務所の経営コーチはクライアントの事を考えて頑張っています。当事務所の宝物です。


西川 弥生 (にしかわ やよい)

昭和38年  八戸市生まれ
 亜細亜大学大学院法学研究科修士課程修了
平成13年  税理士登録
平成15年  税理士法人 八戸経営会計事務所設立 代表社員

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