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経営コーチコラム

  会社が成功するには(1)


日本経営コーチ協会専務理事
税理士・経営コーチ  林 充之



 業種や商品、値段が同じであったとしても、成功している会社とそうでないところとの違いは、何なのでしょうか?

 成功の条件とは、その仕事や商品が「大好きである」こと、または「現場を良く知っている事」などいろいろあると思います。

 では逆に、会社にとって“キツイ”条件とは何でしょう?それは、モノ=商品が売れないことです。モノを売ると言いますが、では果たして、何か売れるモノはあるのか?そして、ビジネスモデルはあるのか?という事が次に問題になってまいります。ただモノを作っても、売れるわけではありません。売れる流れ・仕組みを作るという事、つまりマーケティングが必要なのです。会社にとっての成功とは、一つは売れるモノがあるか、二つ目はマーケティングができているか、この二つがそろってはじめて、成功に導かれるのです。

 ではビジネスモデルとは何でしょう?まず、アイデアが必要です。既存の企業では、何も全く新しいものを作りだそうとしなくても良いのです。その企業の社長の頭の中に、既にある何らかのビジネスモデルをうまく聞きだしてあげる・・・これも、我々経営コーチの役割の一つなのです。一方、起業してから成功に至るまでは、新しいビジネスモデルを作りだす必要があります。「東京ガールズコレクション」等は良い例です。普通のファッションショーではなく、それをブランドにしてしまおうという発想。“そのまま売ってしまおう”というのは、なかなか新しい発想ですね。

 ビジネスモデルとは、商品だけの事を言うのではありません。アイデア、売り方もビジネスモデル。会社を成功させるためにはどうしたら良いのか、というものなのです。

 もう一つ“成功”の要因として考えられるのはマーケティングです。起業する方は、案外このマーケティングが弱い事があります。「この商品は売れるだろう」だけではダメ。売れるという事は、顧客に受け入れてもらうという事。時代がその商品に合っているという事が必要です。勝てる仕事を組み立てたビジネスモデルに、売る方法を加えて考えている、というのが成功している会社の要因です。

 では成功している会社のマーケティングには、どのようなものがあるのでしょう?

 どの業種にも当てはまるマーケティングとは、即ち、「集客→販売→顧客化」という流れです。これは営業主体のマーケティングです。今、情報社会に見られるのは、集客に「見込み客のフォロー」というものが入るという点です。メルマガの発行などがそれです。見込み客を作って、そして販売し、顧客化する、という流れです。

 会計事務所で言えば、「集客」はセミナーなど開く時に見られます。「見込み客のフォロー」は、やはりメルマガなど、発行されている会計事務所も最近増えてきましたね。次に「販売」の段階において、果たして営業トークは、営業ツールは用意されているでしょうか?そして、顧客化です。顧客となった方が、次のお客様を連れてくるのです。我々会計事務所はどちらかというと、紹介によって顧客が増える事が多いですよね。当然顧客化には、「どうお客様に満足度を与えるか」が重要になってまいります。ここまでで、「集客→見込み客のフォロー→販売→顧客化」という流れが出来上がります。この4つの段階それぞれのマーケティングをいかに行っていくか、というのが、我々会計事務所がやらねばならない流れなのです。

 ここで考えてみると、我々会計事務所がすべき事とは、顧客である企業に対して「ビジネスモデルが、その社長の頭の中に出来上がっているか」「マーケティングは出来上がっているか」という、これら販売戦略がその顧問先にあるかどうかを確認するという事です。

 ぜひ、顧問先の社長さんに聞いてみてください。「あなたの会社は、どのように勝てる仕事を組み立てていますか?」もう一つは「どう売るか、マーケティングを考えていますか?」と。すると、業績の悪い企業なら、どちらかが欠けていたりするものです。ビジネスモデルか、マーケティングか。それをヒアリングの中から明確にしていき、欠けているものの再構築へと導く・・・こういった事が、その顧問先企業が成功に近づくきっかけとなるのではないでしょうか?


林 充之 (はやし みつゆき)

税理士・経営コーチ。YMGグループ代表税理士。(株)KAIZEN代表取締役。(社)日本経営コーチ協会専務理事。

横浜で約100名のスタッフを抱える大型会計事務所の代表で、各地で積極的に講演活動を行っており、解り易い語り口調で好評。主な著書として「その時会社は動いた」「経営コーチ」(万来舎・共著)「ときめき会社法」(八千代出版・共著)「社長さん今が決断のときです」(カナリア書房・共著)月刊税理「この資産にはこの評価」他多数。

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