経営コーチとは・・・


  今、中小企業が求めているのは「経営コーチ」の存在



日本経営コーチ協会 名誉顧問: 藤原 直哉


  税理士は中小零細企業のコーチ役、すなわち経営者の気持ちを支え、能力を授ける者のことです。税理士が経営コーチになることで、中小零細企業が抱える問題の解決を支援できます。

 経営コーチを行うためには、経営コーチと経営者の気持ちが通い合っていることが必要です。経営者は、銀行にも従業員にも本音をぶつけられません。しかし、税理士は会社の数字を見ているので、嘘をついても仕方がありません。経営者は、税理士には本音を出すものなのです。こうしたことを考えると、悩みを抱える経営者の相談相手として適任なのは税理士であり、それ以外には考えられないと思います。

 事務所経営の面から見ても、今は税務申告だけでは未来を描けない時代です。しかし、税理士には経営者と率直に話ができるという強みがあります。今は経営者も相談相手を求めていますし、税理士も経営者と本音で話せる強みを活かすのが一番だと思います。税理士の強みを活かした仕事が経営者のコーチ役、つまり「経営コーチ」です。

 「経営コーチ」は、数字が入口で、最後は人の問題になります。税理士が日頃扱う数字は、きわめて重要なものです。この数字の中に、会社の異常が表れるからです。数字を見ながら企業の状態を診断することが、税理士として重要な業務であり、経営コーチの第一歩です。

 会計事務所で働く職員も、自分たちの仕事は企業の診断だと思わなければなりません。経験を積んだ職員には、数字の変化の裏側に、実態の変化が潜んでいることが分かるのではないかと思います。数字をもとに企業の変化を診断して、それを経営者に報告する。「経営コーチ」はそこから始まるのです。

 その後は具体的な対処に入るわけですが、企業の本質的な問題には人が絡んでいるものです。仕事に対する目的意識の損失、社員は理解していてもパートさんには届いていない…。これからの時代、企業の業績を安定して上げるには、働く人たちの気持ちを一つにし、力を統合するリーダーシップが必要です。

 企業の問題への対処では、働いている人達へのケアが重要になってきます。人の扱いは、経営の中で最も重要かつ難しい問題です。その問題から逃げている限り、何も上手くいかないので、積極的に踏み込むことが必要です。数字は入口であって、最終的には人間の部分に踏み込む。これがリーダーシップです。

 税理士の先生や職員の方々がまずリーダーシップを発揮し、顧問先の経営者や従業員の気持ちを動かして、企業そのものをも動かしていく。これが「経営コーチ」の重要な役割と言えます。日本の活力の源は中小零細企業ですから、こうした企業が困難に直面しているのを放置するわけにはいきません。中小零細企業の経営者と仕事をしている税理士は、きわめて重要な立場にあります。経営者とつながっている強みを活かして、企業や地域を盛り上げていってほしいと思います。それが事務所の発展にもつながるのです。

 日本経営コーチ協会では、1)リーダーシップ 2)マネジメント 3)コーチング の三本柱を中心に会計事務所のための教育教材、ツールの提供を行って参ります。


藤原 直哉 (ふじわら なおや)

経済アナリスト シンクタンク藤原事務所所長

1960年: 東京都生まれ。
1983年: 東京大学経済学部卒。住友電気工業株式会社入社。電線ケーブルの海外輸出業務および企画部門に従事。
1985年: 経済企画庁経済研究所出向。世界経済モデルを使ったイタリア、日本および米国の短期経済予測、講造分析、計量経済分析の信頼性向上のための研究に従事。
1987年: ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社入社。投資戦略調査部で債券・株式の数理分析に従事。特にオプション、スワップなどの金融デリバティブ商品、市場のベンチマークとしてのインデックス、および米国のモーゲージ担保証券に関する広範囲な研究・業務に従事。
現  在: シンクタンク藤原事務所所長

 独立系シンクタンクとして「経済」「政治」「国際情勢」「組織のリーダーシップ」に関する独自の分析を行っているほか、「コンピュータ」「統計」に関する専門家も擁し、個別・専門的な分析やコンサルティング、社内教育のお手伝い、講演、執筆活動を行っている。

 藤原直哉が執筆する「ワールドレポート」を毎週、リーダーシップ教育のためのレポート「こころざし」を月2回発行している。その他、社会人学校「藤原学校」を東京で月2回開催し、全国各地で「藤原塾」も開催している。さらにNHKラジオ第一放送の「ビジネス展望」、山口放送ラジオの「情報ダブルクリック」にレギュラー出演、NHK文化センター青山教室では「世界の中の日本経済」というタイトルで時局分析を行っている。

 このほか以下の職責を兼務している。

・特定非営利活動法人日本再生プログラム推進フォーラム理事
・渋谷ソーホーバレーコモンズ(SVC)推進協議会会長
・有限責任事業組合藤原KAIZEN研究会顧問
・東海大学政治経済学部助教授
・ワシントン大学経営大学院名誉卒業生
・ワシントン大学経営大学院キー・パートナー

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