経営助言アプローチ

吉永茂の“経営助言アプローチ”
(20016.12.27)

【一般】事業性評価融資とは

1.「事業性評価融資」とは、財務データや担保・保証に依存した融資(従来の一般的な融資)ではなく、借り手企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価(「事業性評価」)して行う融資のことです。
 従来の一般的な融資では、成長性はあるものの決算内容があまり良くない企業の場合、必要な資金を調達できないことがありました。このように、成長力のある企業が資本的な制約を受けることは、当該企業のみならず地域経済ひいては日本経済にとっても望ましくありませんので、政府及び金融庁の方針として「事業性融資」を促進することになりました。なお、事業性の評価は、通常の審査に加えて実施するもので、事業性評価だけで直ちに融資の可否が判断されるものではありません。
2.金融機関が事業性の評価を行うにあたっては以下の項目が重視されると思われます。
  • (1)経営者の意欲が経営理念等で明確に表明されているか。
  • (2)経営者主導で企業の「経営計画」が策定されているか。
  • (3)技術力や販売力等で何らかの強みを持っているか。
  • (4)社内のコミュニケーションや経営目標の共有化は進んでいるか。
  • (5)人材の育成についての組織的な取組みが行われているか。
  • (6)事業の継続(後継者育成等)について懸念される点は無いか。
3.企業として「事業性評価」を高めるために取組むべきこと。
以下の(1)及び(2)が必須です。
  • (1).P−D−C−Aのサイクルを回すこと。
     計画を立てるだけでなく、実行し、評価し、改善するという仕組み作りが大切です。このための仕組みとしては、「日報」や「経営会議」があります。
  • (2).成果を測定するための指標を設けること。
     バランス・スコア・カードのKPIの活用が考えられます。(以下は「建設業」の例です)

財務の視点顧客の視点業務プロセスの視点学習と成長の視点
(略)客数(年間)1人当り付加価値従業員定着率
客単価クレーム数(年間)従業員平均年齢
相対的シェアー率見積書提出数(年間)給与水準(年○○○万円)
元請売上の割合受注数(年間)OJTの実施回数(月平均)

 トップマネジメントにとって事業性評価の視点は、融資を必要とする場合だけでなく、経営のあらゆる局面において欠かせないものです。