経営助言アプローチ

吉永茂の“経営助言アプローチ”
(20016.03.30)

【建設】建設業の技術者要件・特定建設業許可要件の引き上げ

 建設業界では、長年にわたる建設投資の減少で経営環境が悪化した結果、若手入職者の減少などが続き、建設工事での担い手不足が深刻化している。
 このような背景を受けて、技術者の効率的な配置を図るために下記のような改正が行われることとなった。
 今年2月29日に政令の改正案が公表され、所定の意見募集期間を経て、6月1日から施行される予定である。

 技術者要件に関する改正内容は以下の通りである。

  現 行 改正後
特定建設業の許可が必要な金額
主任技術者ではなくより上位の監理技術者を配置すべき工事の金額
一つの工事で下請へ支払う金額の合計が3000万円以上(建築一式工事の場合は4500万円以上)の工事 一つの工事で下請へ支払う金額の合計が4000万円以上(建築一式工事の場合は6000万円以上)の工事
他の現場との兼任ではなく工事現場ごとに専任の技術者(主任技術者又は監理技術者)を置くべき工事 請負代金が2500万円(建築一式工事の場合は5000万円)以上の工事 請負代金が3500万円(建築一式工事の場合は7000万円)以上の工事

 改正後は、下請金額の合計が4000万円未満の工事には、監理技術者ではなく主任技術者を配置すれば良いが、設計変更や追加工事で4000万円以上になると、その時点で監理技術者に変更する必要性が生じるので、この点実務上は「要注意」である。

 なお、「工事施工体制台帳」は、下請へ支払う金額の合計が3000万円(建築一式工事については4500万円)以上の工事にのみ作成が義務づけられていたが、入札契約適切化法の改正に伴い、平成27年4月以降の公共工事については下請契約の金額の如何にかかわらず作成が義務づけられているので、この点も注意しておきたい。
 「法令違反」となる事態を招かないように、リスクマネジメントの観点からも法令の改正については早目に情報を入手し、体制作りを進めることが肝要である。