Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築

ワンマン経営からの脱却


 どんな人も今日よりは明日、1年後、5年後のほうがよりよく成長していたいと願っています。企業も同じです。今期よりは来期、5年後、10年後のほうがより多く利益を上げ、発展、成功したいと願っているはずです。あなたのお客様企業の現状はどうでしょうか。

 発展できない理由を業界・業態の特殊性や、企業を取り巻くさまざまな環境のせいにしたり、長期的な平成デフレの影響などと、他者のせいにしていませんか。そもそもあなたのお客様企業には発展する意欲があるのでしょうか。

 社長自身は、個性的な魅力があり、独自の考えやバイタリティーがあるはずです。ロマンと使命感を持ち、高い目標を達成するために行動する、経営者として素晴らしい一面をもっています。ところが、どうしても他人の意見や態度に耳を傾ける時間や余裕がありません。結局、助言者や適切な参謀が得られないために、完全なワンマン経営になってしまうのです。経営が順調なときはよいのですが、いったんつまづくとバックアップが難しくなります。

 つまり、ワンマン社長は助言者や参謀のいない「裸の王様」です。この王様は、童話のように裸であることを知らないわけではありません。十分に知っているのです。そのためなおさら、裸のままで孤軍奮闘して何とかカバーするしかないのです。この「裸の王様」に必要なのは黙って実際に下着や上着、コートを着せてくれる人です。

 しかし、社員の中には、それをやってくれる人がなかなかいません。だから「うちの社員は何もわかってない」と嘆きつぶやくのです。

 裸の体を覆ってくれる役目をする師匠やパートナー、あるいはアドバイザーがいればどんなにラクか、そしてもっと成長するだろうということを知っているのは、やはり、ワンマン社長本人です。ところが、それがうまく作れません。


 ワンマン社長の問題点には次のようなことがよく見られます。

1)組織が確立していない

 社員数そのものが少なく、親戚・縁故関係で占められている場合が多いので、職務分掌規定が明確になっていない。役割による上下関係も曖昧になりがち。

2)マンネリ化で現実が見えていない

 過去の栄光が忘れられない、なれ合いで楽、いつものやり方が一番安心という理由で、常に自己改革しなければならないという意識に乏しい。変革と言いながら、実際変わることを恐れている場合が多い。

3)長期的な視野に欠ける

 いかに税金を少なくするか、経費を削減するかと目先のことだけを考えて、問題が起こっても対症療法でなんとか切り抜けている。

4)後継者を教育する自信がない

 自分はだれにも教わらずにここまでやってきた、という自負が強いために、部下を育成しようという気持ちが少ない。教え方も分からない。

 企業経営者は困難なときのほうが経営者にとっては、やりがいのある時代といえます。経済が停滞してくるときこそ、果敢に挑戦する価値があるのです。なぜなら「ピンチはチャンス」だからです。こうした試練のときに、未来を見据えて、経営のビジョンを組み立て、ピンチをチャンスに変える具体案を提示し、経営者とともに朝鮮していくのが「ベネフィットドクター」の役割です。優秀な会計士・税理士事務所に相談すれば適任をみつけることができるのです。