Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
コラム一覧はこちら


経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築

フィードバック法で部下指導


 お客様企業には、知識や経験が豊富な経営者も多いでしょう。しかし、知識や経験のみに頼りすぎてしまうと、思い込みや慣例、しがらみにとらわれて、問題の本質を見落としてしまうことがあります。経営者には、分かっているようで、実際には自覚できにくいこともあります。

 特に、部下の指導・育成のためには、経営者自身も絶えず自己研鑽して成長しなければなりません。同様に、優れた部下を持つには、経営者は部下の数倍もの自己啓発が必要になってきます。優れた経営者は自ら常に勉強し、成長していかなければならないのです。その点を積極的にアドバイスして差し上げるのも、会計事務所の役割のひとつです。

 頼られる社長、成長を願う部下という相互信頼があるからこそ、育成が可能になります。そのためには、上からの指導・教育をするだけではなく、社長からも適切にフィードバックすることです。

 次の点を意識すると良いでしょう。どんな話でも的確に内容をとらえることができ、正確に確実に対処してもらえることになり、部下からの信頼性が高まります。


事実と推測、感情、期待を明確に聞き分けて確認する

 報告や説明の場合、結論は何か、そして何が事実で、どこからがそれに基づく推論か、などをしっかりと聞き分ける必要があります。自分の都合のよいように思い込みで聞かず、確認することが重要です。

 部下には、曖昧な話し方をしない指導が必要です。

 また、悩み相談などは、事実とそのときの部下の気持ち、今後どうしたいのか、何を期待しているのかなどを明確にしなければ、相手の立場になって考えることができません。

 より心を開いて説明してくれるように、「イエス、ノー」で答えられない質問をします。そして、部下の話を本気で受け止め、どのレベルで力になれるのかを真剣に考えて伝えることです。


説得するときは相手の気持ちを聞いて守る

 どうすれば部下がこちらの思うように行動してくれるのか、部下とこちらの妥協できる点と譲れない点を知る必要があります。それを見つけるために質問をして、部下の立場、状況、気持ちなどを理解し、説得点を探っていくのです。

 また、説得が勝ち負けにならないように注意しましょう。社長にいやいや承諾させられた、という敗北感や不満を味わわせては、説得に応じてくれる点を探すことです。聞くことによって、相手の自尊心を守ることです。


相手の言いたい事や気持ちを、自分の言葉で言う

 「何とかしたいんだな。A社にはもう一回一緒に行ってみようか」と部下の言いたいことを自分の言葉で短く要約したり、「心残りなんだな。もう一回挑戦してみろよ」と気持ちを代弁し、部下に希望を与える方向を示すようにすると、満足感が信頼感に変わっていきます。